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畠山健介が語る“ラグビー絵本”誕生秘話 - 『サンドリ』との共通点は

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畠山健介が語る“ラグビー絵本”誕生秘話 - 『サンドリ』との共通点は

●絵本は「後の世代にもつながっていく」
2月1日に発売された絵本『らくがきボール』(小学館/作:鈴木のりたけとラグビー選手の仲間たち)。この絵本は、日本ラグビーフットボール選手会会長の畠山健介選手の熱意で実現したコラボ企画だ。

そんな畠山選手が絵本が誕生した経緯のほか、自身もリスナーだと語るラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』や、9月から開催される『ラグビーワールドカップ2019』への思いを語った。
○■バスケットボール部だった中学時代

――まず、畠山さんの小学生時代についてお聞かせください。ラグビーを始められたきっかけは何だったんですか。

母がラグビー好きだったので、地元に1つだけあったラグビースクールに兄を通わせていたんです。僕は母の送り迎えについて行っていました。そうしたら、当時から僕はかなり大柄だったので、コーチ陣から熱い勧誘を受けまして(笑)。
8歳からラグビーを始めました。

――中学時代はバスケットボール部に入られていたそうですね。

そうですね。中学校にラグビー部がなかったので。土日はラグビースクールに通っていたんですが、当時は『SLAM DUNK』が流行っていたこともあり、平日はバスケットをしていました。

――畠山さんがバスケットボールをされている姿は正直、想像がつきません(笑)。

そこまでバスケを苦手に感じたことはなかったんですが、バスケットって接触プレーに対して、厳しくファウルにするじゃないですか。2日で4試合やるという大会があったときに、全試合で5ファウルで退場したことがありました(笑)。
僕はすごくバスケットが好きなんですが、バスケットには愛されなかったですね(笑)。それに比べると、ラグビーとの相性はバッチリだったのかなと思います。
○■構想から2年で実現した『らくがきボール』

――その後は仙台育英高校、早稲田大学のラグビー部に進まれ、現在はプロとしてご活躍されています。今回発売された『らくがきボール』は畠山さんの熱意から生まれたそうですが、アイデアを思いついたきっかけをお聞かせください。

僕も出場した2015年の『ラグビーワールドカップ』で、南アフリカに勝利したりと結果を出し、「これで日本の中でラグビーが変わる。メジャースポーツになっていく」と信じてやみませんでした。でも、現実はなかなか上手くいかなくて、もっと一般層にもラグビーを浸透させるには、もうちょっと違う方法が必要かなと考えていました。

そんな折、僕は2人の娘がいるんですが、「絵本は自分が幼い頃に読んでいた定番のものを買い与えているな」と思ったんです。
妻とも「これ、僕も読んでたよ」とか会話するなかで、「絵本は後の世代にもつながっていくものなんだな」という考えに至りました。

――なるほど。

ラグビー部がある高校もそんなに多くないですし、大学生や社会人になって初めてラグビーに触れる方も多いと思います。そうすると、ある程度価値観が出来上がった状態で急に現れた転校生感があるので、なじむのって時間がかかるんですよね。ではなくて、小さい頃から人生の一部にラグビーが組み込まれている状態にしたいなと。そういった思いと、先ほどの「絵本は後の世代にもつながっていく」という考えが僕の中でうまくマッチしたんです。

――アイデアを思いついてから、絵本発売までどのように実現させていったんですか。

日本ラグビーフットボール選手会の会長に就任した際に、その場で「これをやりたい」と提案しました。
自分たちには何もノウハウがなかったのですが、選手会に携わっていただいている方のお母様が絵本作家で、小学館の担当の方を紹介いただき、結果的に絵本作家の鈴木のりたけさんに描いていただくことになりました。構想から2年かかりましたが、発売することができました。

●有吉弘行『サンドリ』で生まれる化学反応
○■絵本で「本当の意味でのダイバーシティが実現した」

――鈴木さんの書かれた『らくがきボール』は、ラグビーボールの形をしているのが特徴的です。

構想段階の下地を見たときに、震えるくらい感動しました。絵本は四角形だと思い込んでいた、自分の発想力の乏しさを実感しましたね(笑)。鈴木先生の「ボールなのに丸くないのが面白い」という着眼点がすごいですよね。ラグビー選手が企画して書こうと思ったら、押し付けのような説教臭いものになってしまったと思います。すごくキャッチーで面白い絵本にしていただき、本当に感謝してます。


――確かに、ラグビーを何十年もやられている立場だと、ラグビーボールの形も当たり前に思ってしまいますよね。

そうなんですよ。でも見渡してみると、楕円形のボールは、ラグビーボールとアメフトボールくらいしかないですよね。僕らにとってはそれが当たり前でも、違うジャンルの方がラグビーに触れたときに、こういう化学反応が生まれるんだなと。ラグビーは「ダイバーシティのスポーツ」とよく言われるんですけど、ラグビーと絵本作家さんという本当の意味でのダイバーシティが実現しましたね。

――本書の最後には、畠山さんの「ラグビーはみんなでやるから楽しいんだ」というメッセージが書かれていますが、まさに『らくがきボール』も皆さんの協力で実現したんですね。

先ほど「絵本は後の世代にもつながっていく」とお話しましたが、ラグビーボールもみんなでつないでいく大事なものです。本とラグビーボールはまったく違うものですが、そこのテーマは共通しているなと思いますね。

○■ラグビー部の後輩に「僕も『サンドリ』聴いてます」

――ところで、テレビ等のメディアにもよく出演されている畠山さんですが、ご自身は普段、どういった番組をご覧になりますか。

ジャンルを問わず、色んなスポーツをずっと流してますね。というのも、自分の子どもにもスポーツを好きになってもらいたいんです。スポーツは、本当に人生を豊かにできると思っているので。あとは個人的に有吉(弘行)さんが好きなので、有吉さんが出ている番組は基本見るようにしています。

――畠山さんは"ゲスナー"(ラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』のリスナー)でもありますよね。ご自身も同番組に何度か出演されています。

ラジオでの有吉さんの発言がネットニュースになっているのを見て、「ラジオやってるんだ、有吉さんがやってるなら聴いてみよう」と思ったのが聴き始めたきっかけです。
ネタを投稿するゲスナーさんの着眼点と文才に対して、「すごいな、頭いいんだろうな」と思って聴いてます。

――『サンドリ』(『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』の略称)に出演後、周りの人からの反応はいかがでしたか。

早稲田のラグビー部の大学生に会ったときに「自分もラグビー部で、畠山さんの後輩です」より先に、「僕も『サンドリ』聴いてます」と言われたことがありますね(笑)。僕は有吉さんが好きで聴き始めたんですが、有吉さんとアシスタントの芸人さん、ゲスナーさんの化学反応が面白くて、毎週楽しませていただいています。――先ほど『らくがきボール』で化学反応が生まれたと話されていましたが、『サンドリ』にもそれを感じているんですね。

そうですね。『らくがきボール』のような…一緒にして良いのか分かんないですけど(笑)。でも、素晴らしいものや人を虜にするものは、絶対に化学反応のようなことが起きているんだと思うんですよ。『らくがきボール』にしても、クリエイティブなことですし、今まで誰もやっていなくて予測がつかなかったんですが、だからこそ挑戦する価値があったのかなと。微力ながら、僕も携われたことを誇りに思います。

●『ラグビーワールドカップ2019』への思い
○■ラグビーが「こんな僕を真人間にしてくれた」

――メディアに出られている畠山さんを拝見していると、かなりトークがお上手だと感じます。

『サンドリ』を聴いているような人種なので本当の自分は陰なんですが、「多くの人に好かれたい」「人気者になりたい」という陽の"もう1人の自分"を作って生活しています。この"もう1人の自分"が面白いことをやれば、本当の自分を見せずに、「畠山って良い人なんだ」という評価になるじゃないですか(笑)。

――"もう1人の自分"がご自身の中にいるんですね。

本当の自分が"もう1人の自分"に近づくのが今の目標です。練習をやらずに、本当は家でゴロゴロしてたいですし、本当の自分とは乖離(かいり)してるんですよ(笑)。でも、勝つためには厳しい練習をしないといけない。ラグビーのおかげで、"もう1人の自分"が引っ張ってくれている状態です。だからラグビーがなかったら、ずっと陰の自分で、今も働かずに実家でラジオを聴いていた可能性も全然あったと思うんですよ。ラグビーをやっていて、本当に良かったです(笑)。

――ラグビーが畠山さんを真人間にしてくれたんですね(笑)。

そうです(笑)。こんな僕を真人間にしてくれたラグビーはやっぱりすごいんですよ。本当にラグビーには感謝してるので、色んな人に広めていきたいですね。

○■『ラグビーワールドカップ』日本代表の注目点は

――そういった意味では今年、『ラグビーワールドカップ』が日本で開催されますね。

僕個人としては、日本はもちろん、アジア全体にもっとラグビーを広めたいです。今は欧州や南半球の国が覇権を握っていますが、アジアはラグビーをリードできる素養があると思っています。だからこそ、アジアでもっともラグビーが盛んな日本を拠点に、国内のみならず、アジアに向けてもやっていく必要があると思いますね。

――畠山さん個人としては、どのように日本開催の『ラグビーワールドカップ』を盛り上げていきたいですか。

いくつか段階があると思います。まずはやはり日本代表選手に選ばれることが第一目標です。そしてもし代表に選ばれなくても、悔しい気持ちはありつつも、解説等でメディアに出て携わりたいです。それも「お呼びじゃないよ」と言われたら、ファンとして試合を観に行きたいですね(笑)。どの段階であっても、2019年は日本ラグビーにとってターニングポイントとなる大事な1年ですので、しっかり携わりたいです。

――2015年の前回大会は、3勝しながらも惜しくもベスト8入りを逃しました。日本代表における今大会の注目点をお聞かせください。

2015年は3勝を挙げましたが、ベスト8に勝ち点差で届きませんでした。僕たちは勝つことだけにフォーカスしましたが、今回はよりスマートに、勝ち点も意識して戦わないといけないと思います。「賢く戦う」試合を何試合見られるかには注目です。

――改めて日本開催への思いをお聞かせください。

2019年は、公式キャッチコピーにもあるように「一生に一度」だと思います。スペシャルな1年で終わらせるのではなくて、100年後の2119年の人たちが振り返って、「あの大会がきっかけだったね」と言われるような大会にしたいです。そのためには選手はもちろん、関係者みんながハードワークをして良いものを残したいですね。

――それでは最後に、『らくがきボール』を通じて、どんなことを伝えたいかお聞かせください。

この絵本を通じて、親子の時間をより良い、素晴らしいものにしていただけたらうれしいです。そして、その会話の中にラグビーの話題があると僕はすごくうれしいですね。

■『らくがきボール』(作:鈴木のりたけとラグビー選手の仲間たち、定価:本体1,300円+税、発行:小学館)ラグビーの面白さといえば、 なんといっても、 楕円球。ボールなのに丸くない!? ふしぎなカタチ? おかしなカタチ? このちょっとヘンな楕円球に“らくがき”をしたら、 キミには何に見えるかな? 本を開くと、 ラグビーの試合球と同じサイズの楕円になるユニークな絵本の登場!
■畠山健介1985年8月2日、宮城県気仙沼市生まれ。仙台育英高、早稲田大ラグビー部で活躍後、サントリーに加入(2月22日に退団を発表)。日本代表として、『ラグビーワールドカップ』2011年、2015年大会に出場。

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