伊藤万理華、髪バッサリの覚悟で挑んだ極限状態での演技合戦
●オファーの理由は、個人MVにあった
河本ほむら・尚村透による人気コミックを実写化した、『賭ケグルイ』シリーズ。ドラマのSeason1、Season2を経て、オリジナルストーリーの『映画 賭ケグルイ』が5月3日から公開中だ。ギャンブルの強さが自身の階級を決める私立百花王学園を舞台に、謎多きJKギャンブラー・蛇喰夢子(じゃばみゆめこ/浜辺美波)が活躍する同作だが、映画版では“非ギャンブル、生徒会への不服従”を掲げる白装束集団・ヴィレッジが物語の鍵を握ることになる。
映画オリジナルとなった謎多きキャラクター・犬八十夢(いぬはちとむ)を演じるのは、元乃木坂46のメンバーで女優・アーティストとして活躍する伊藤万理華。髪の毛をバッサリ切った姿が「イケメン」と話題になり、性別不詳の役を演じている。今回は伊藤にインタビューし、作品についての話を聞いた。
○「やるしかない」という状況に
――伊藤さんの演じた犬八十夢は、かなりボーイッシュなキャラクターで、一人称も「俺」ですが、オファーを聞いてどういう印象でしたか?
普段男の子っぽいところはないので、どうして私だったんだろう? というのはありました。私が演じた犬八十夢は、男女どちらでも良いというキャラクターだったそうで、女子になって、私に声をかけていただいたそうです。
乃木坂を卒業するタイミングでPVを何本か撮らせてもらったんですけど、(「トイ」の)車に乗って踊るシーンを見て「犬八だ」と思っていただいたらしいんです。男女どちらかわからなくていいキャラクターで、今までに出てきたこともなかったと思うので、この役を演じられたことは、ちょっとだけ自信になりました。
――髪をバッサリ切ったことも話題になっていましたよね。
お話をいただいたときに、「できたら髪を切ってほしい」ということだったんですが、話し合いの場を設けてもらって、「切ります」と出演させていただきました。作品に途中から参加するというのは、それなりの覚悟が必要だし、切る方がいいと思いました。
――髪を切っている様子が雑誌にも掲載されて。
連載させてもらってる「装苑」さんに、「名案が浮かびました」とお願いしに言ったら、4ページもいただけて、すごくいい感じのビジュアルで、嬉しかったです。ただ、それが映画撮影の前日だったので、犬八の完成がわからない状態で、準備をしなければいけないという大変さはありました。
――髪の長い状態であのテンションは難しそうですね。
普段だったら、できないです(笑)。ドラマのテンションが高い回をいっぱい見たり、主題歌をずっと聴いたりして、自分で保つようにしました。
――テンションが高いし、みなさんの表情もすごい作品ですが、参加するときにはどういう気持ちで臨まれたんですか?
監督からは、「演技合戦だから」と言われました。みんなに言っていたみたいで、そういうプレッシャーをかけるようなことをバンバン言われるんです(笑)。やるしかないという状況まで追い込まれたので、この時の感じをやってと言われても、絶対にできない。極限状態で演じていたから、ぜひ見て欲しいです。
●乃木坂46メンバーとの共演については?
――夢見弖ユメミ役で出演されている乃木坂46の松村沙友理さんとは、撮影がかぶっていないものの、現場で会ったそうですね。
初日に偶然会うことができました。ユメミちゃんの格好が、すごくぴったりでした。『あさひなぐ』の時もそうだけど、まっちゅんにぴったりの役がなんでこんなに出てくるんだろう? と思います。まっちゅんにしかできないし、まっちゅんの演技を楽しみにしてたから、初日に会えて、安心しました。どういう空気なのかも、詳しく聞いていたわけじゃないけど、まっちゅんの様子を見て、楽しめそうだと思いました。
――完成した作品について、互いに感想は言い合ったりしたんですか?
メンバーの卒業ライブにいったときに、まっちゅんがいたので、話しました。そのあとも何人かでごはん行ったので、作品の話になったんですが、何をしゃべったかな?(笑) 「楽しかったね」とは、言ってたかな。
――乃木坂46はいま、現役の方も卒業された方も様々な作品に出られていて、今後もたくさん共演しそうですよね。
メンバーが出ている作品に自分が出演できるのは、すごいことなんだろうなと思います。きっとメンバーが出てる作品って、大きくてすごく良い作品なんだろうな、と思うんです。私が次に誰と共演するのかはわからないですけど、そのときに「成長したね」と思ってもらいたいです。
――ちなみに伊藤さんご自身は、スリルを感じることへの快感はあるんですか?
賭けごとに対しての興味はないんですけど、めちゃくちゃ冒険心はあるし、1人で行動したい派なので、あると思います(笑)。「不安」と言っときながら行く、みたいな。まわりから「大丈夫?」と心配されながらも、「やりたい」と言っている感じです。
――今回もそういう感じで撮影に臨まれたんですか?
そうですね(笑)。周りには、すぐ「ダメだ」とか言ってしまうので、次からは言わないようにしたいです。
これから演じる役も、何も恐れず、好き嫌いせず、やりたいです!
――それでは、最後に作品を楽しみにしている方へのメッセージをいただければ。
映画オリジナルの物語ですが、作品の世界観はそのまま、みなさんそれぞれのキャラの持ち味が出ていて、感動する作品になっています。この賭け合戦に参加してる気分になれると思うので、たくさんの人に見て欲しいです。そして、犬八に共感してくれたら嬉しいです。
■伊藤万理華
1996年2月20日大阪生まれ。神奈川県出身。乃木坂46の元メンバー。主なドラマ出演作は『BAD BOYS J』(13)、『海の上の診療所』(13)など。
『ガールはフレンド』(18)では主演を務めた。映画では、主演作『アイズ』(15)をはじめ、『劇場版BAD BOYS J-最後に守るもの-』(13)、『傷だらけの悪魔』(17)などに出演。英監督作品は『あさひなぐ』(17)に次ぎ2作目の出演となる。また、デザイン誌『MdN』(15~17)、ファッション誌『装苑』(18~)での連載をはじめ、「伊藤万理華の脳内博覧会」(17)と題した自身の個展を行うなどファッションやデザインといったクリエイティブな側面も注目されている。