ジャンポケ、長年のKOC挑戦でスタイル確立「アメリカンコメディを軸に」
●単独ライブへの思い
キャラも顔も濃い斉藤慎二、スポーツキャラとしても活躍する太田博久、おバカキャラでいじられがちなおたけ。三者三様の魅力が注目されているお笑いトリオ・ジャングルポケットが、今年も6月9日より単独ライブ全国ツアーを開催する。2013年より毎年全国ツアーを開催してきた3人だが、7年目となる今回は、これまでとは違った将来を見据えたツアーになるそうだ。また、コント日本一を決める『キングオブコント』に挑戦し続ける中で、自分たちの形が確立されてきたという。
○■5年後の大規模な単独ライブを目標に
――トリオ名も毎年のツアータイトルも競馬に関する言葉が用いられていますが、今年のツアータイトル「バレット」はどういう意味が込められているのでしょうか?
斉藤:バレットとは、騎手のサポートする人たちのこと。今回は、お客さんに笑ってもらえるように僕たちがサポートしようという意味を込めてこのタイトルにしました。
――7年連続の全国ツアーとなりますが、今回のツアーはどういうものにしようと考えていますか?
太田:何年後かに今よりも大きい会場でできたらいいなと考えていて、毎年ちょっとずつお客さんが増えていくようなステップアップになるよう、全体的にいろいろこだわっています。今まではネタを見せるだけという感じでしたが、全体的に満足度の高くなるように、オープニングも普通に映像を流すだけでなく、いろんな仕掛けをしていきたいと思っています。
――今年を転換期にした理由は?
太田:単純に、毎年全国ツアーをやっていく上で目標がないなと思って。今までは『キングオブコント』とかあったんですけど、今年はまだ出るかわからないというのもあって、全国ツアーをこの先やるなら、何年後かにどういう感じになっていたいか想像して、逆算して今年できることをやろうということになりました。何年後かに設備が完璧な状態になっているために「今年はプロジェクターを買おう」とか具体的に考えています。
――何年計画ですか?
太田:5年くらいですね。5年後に向けてちょっとずつ、「ここ変わったな」「ここ増えているな」と変化も楽しんでもらえたら。
○■単独ライブは芸人として大切な基盤
――お笑い芸人の方は、スキル磨きの場としてもライブをとても大事にされている方が多いと思いますが、ジャンポケさんにとってライブはどういうものでしょう?
斉藤:やはりお客さんに、テレビとかでは見られないようなことを楽しんでもらう場所。もともと舞台から出始めさせてもらっているので、軸はしっかりということで毎年やっている。ここを怠ったら芸人として終わっちゃうのかなという感じがあります。
ほかに違うことをやりたいっていうのを見つけた人は仕方ないと思いますけど。ネタから逃げたり…。
太田:いろいろな人が思い浮かびますけど(笑)
斉藤:自分たちの欲に駆り立てられて路線を変えるのもいいと思うんですけど、僕はそういう生き方をしたくないので!
太田:ネタをやってなんぼっていうことね(笑)
おたけ:僕はYouTubeとか興味もっていて、ネタは単独ライブでやらないといけないのでやっています。
太田:うちはネタをやりたいやつ2人対やりたくないやつ1人で、多数決でやることになっているんです。
――太田さんは単独ライブをどのように捉えていますか?
太田:減量したあとに食べるおにぎりがおいしいのと同じで、めっちゃ頑張ってやった後の打ち上げとかがおいしいというのもありますし、単独ライブをやらないとネタができないんです。毎年ありがたいことにネタ番組に出させていただく機会が多く、そのためのネタ作りにもなっています。今年はジャンポケの公式YouTubeチャンネルも作ろうと思っていて、僕らのネタを見るんだったらここっていう場所にしたなと思っています。秋前には立ち上げられたらと思っています。
――YouTubeに興味のあるおたけさんとしてはうれしいんじゃないですか?
おたけ:そうですね。それと別に個人チャンネルもやろうと思っています。お笑いとは違った趣味的なものを。
●磨き続けてきたネタと自分たちらしさ
○■ネタ担当の太田「“確実にスベる”はわかる」
――ネタ作りは変わらず太田さんが担当されているんですか?
太田:基本的にはそうです。
――そもそも太田さん担当になったのはなぜでしょうか?
太田:最初は3人で考えていて僕がまとめるくらいな感じだったんですけど、斉藤がテレビに出始めた頃にめっちゃ肌荒れして、深夜稽古は厳しいから単独ライブはやめようということになって、そのタイミングで俺がネタを書くことになりました。
斉藤:ネタ書いてくれていることは感謝しかないですね。僕は考える才能もないですし。ただ、だからといって自分の意見を言わないというのは違うと思うので、ネタは書いていなくても真剣に意見は言うようにしています。
おたけ:僕もネタは書けないのでありがたいですね。
――ご自身の中でネタ作りのスキルがアップしていると感じるものなのでしょうか?
太田:これスベるなっていうのはわかるようになりました。“確実にウケる”はわからないけど、“確実にスベる”はわかります。
――そうわかった時点で、そのネタはストップですか?
太田:そうですね。自分の中の予選で落とすようにしています。松井秀喜さんが今食えているか俺らが勝手に心配するっていうネタとか、これはウケないだろうなと思ってやめました(笑)
――“確実にウケる”がわかったら強いですね!
太田:これはウケるだろうなっていうのはありますけど、なかなか難しいですよね。今の目の肥えた人たちは、絶対これウケるだろうなっていうのは退屈みたいですし。これってどうなんだろうな、くらいのを芯にとらえると今の賞レースで決勝に行くネタになる気がします。
ちょっとマニアックになりすぎちゃってるんですよね。
○■『キングオブコント』挑戦の中で確立されたスタイル
――今年は『キングオブコント』に出場しないかもしれないというのは本当ですか?
太田:はい。2人はもともと賞レースにそんなにこだわってなくて、おたけなんかネタもそんなにっていう感じですから。確かに、無理やり出てもしょうがないかなっていう気はしています。いいネタが2本ないのに出ても恥かくだけなので。あまり意識せずに単独とかやってみて、いいネタができたらっていうくらいかなと思っています。
――2008年から11年連続で出場され、3年連続決勝に進出されるなど大奮闘。『キングオブコント』への特別な思いがあるのかなと思っているのですが、いかがでしょうか?
太田:それはありますね。
『キングオブコント』のために考え出したネタが今みなさんが認知してくれている僕らのネタだと思いますし、ジャンポケのネタが面白いと思ってくれている方がいたら、それは『キングオブコント』のおかげだと思います。あれがなかったらこんなに真剣にネタに向き合っていない。変えたところがウケたらそれを採用して、打席重ねていいものを作っていくという細かい作業はやっていないと思うので、『キングオブコント』にはすごく感謝しています。――大きな全国ツアーを目指す5年計画の1年目となる今年の意気込みをお願いします。
斉藤:僕とおたけはまだどういう感じになるのかわからないですけど、今までとは違う自分たちが見せられたらと思います。
おたけ:いま子供番組をやっていて、子供も来てくれると思うので、ちょっと今までとは違う感じの単独ライブになると思います。内容知らないんで想像でしゃべってますけど、“七人のこびと”のネタとかあるかもしれないですし、“アンパンマン”とか出てくるかもしれないです。
太田:特に子供に寄せたネタをやるっていうのはないんですけど(笑)、ストイックなイメージよりかは、ポスターのイメージのようなアメリカンコメディのような単独ライブにしたいなと思っています。
――アメリカンコメディというのは、どこから生まれたアイデアでしょうか?
太田:僕らのイメージっぽいことをしたいと思ったんです。『キングオブコント』の過去のコメントでバナナマンの設楽(統)さんが「アメリカンコメディみたい」っておっしゃってくれたときに「確かに」と。エレベーター開いたときの斉藤の表情とか、おたけがケーキ持って踊りながら入ってくるとか、ちょっとベタなことを濃くやるっていうのは俺らっぽいなと思います。今回のツアーのポスターも、ゴリゴリに“なんかしますよ”っていうアメリカンコメディっぽいポスターにしました。
――『キングオブコント』に挑戦し続ける中で自分たちらしさが見えてきたんですね。
太田:そうですね。でもそればっかりだと飽きられてしまうので、アメリカンコメディを軸にしつつ、いろいろなことをやっていけたらと思います。
■ジャングルポケット
斉藤慎二(1982年10月26日生まれ、千葉県出身)、太田博久(1983年12月19日生まれ、愛知県出身)、おたけ(1982年12月2日生まれ、東京都出身)からなる吉本興業所属のお笑いトリオ。2006年4月結成。2008年から11年連続で『キングオブコント』に出場し、2015年~2017年は3年連続で決勝に進出した。現在、さまざまなネタ番組に出演するほか、テレビ東京『一夜づけ』『おはスタ』などにレギュラー出演している。
■ジャングルポケット単独ライブ全国ツアー2019「バレット」開催日程
6月9日:名古屋(東別院ホール)
6月21日:仙台(仙台市シルバーセンター交流ホール)
7月5日:札幌(札幌教育文化会館小ホール)
8月2日:東京(ルミネtheよしもと)
8月16日:大阪(大丸心斎橋劇場)
8月23日:福岡(イムズホール)