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菅田将暉、仮面ライダーで手に入れた勇気と技術 今でも「助かっている」

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菅田将暉、仮面ライダーで手に入れた勇気と技術 今でも「助かっている」

●初吹き替えで2度目のヒーロー役
俳優の菅田将暉(26)が、映画『シャザム!』(公開中)で主人公シャザムの日本語吹き替えを担当した。「やっぱりヒーローは気持ちいい」と、特撮ドラマ『仮面ライダーW』以来2度目のヒーロー役を存分に楽しんだ菅田にインタビュー。本作でも、仮面ライダー経験が生かされたそうだ。

DCコミックスを原作とする同作は、見た目は大人、中身は子供という“悪ガキ”ヒーローの物語。身寄りのいない孤独な少年、ビリー・バットソンはある日、謎の魔術師からスーパーパワーを与えられ、悪ノリ全開でスーパーパワーを無駄遣い。だが、遊んでいられない事態になり、スーパーヒーローとして最凶の敵に立ち向かう。日本語吹き替え版では、実写映画『銀魂』シリーズで知られる福田雄一監督が監修・演出を担当した。
○■初めて声が枯れた! 吹き替えの難しさ

――福田監督からオファーを受けたときの心境は?

基本的に福田さんについていけば絶対面白いという安心があるので、ただ身を投じる気持ちだったんですけど、思っていたより規模の大きい話だったなと(笑)。
その頃にはもう予告編を観て、面白そうだなと思っていたので、びっくりしましたし、うれしかったです。

――作品に対してはどんな印象を受けましたか?

純粋に面白そうだなと思いました。お芝居のテンポとかカットの割り方とか、特にギャグシーンのテンポがすごく福田さんに合うなというのが最初の印象でした。

――今回が洋画吹き替え初挑戦となりましたが、いかがでしたか?

楽しかったですけど、難しかったです。演じている俳優さんになるべく寄り添って合わせたいなと思いつつ、そのバランスが難しかったですね。初めて声が枯れました! 自分が普通にお芝居していたら声は枯れないんですけど、当てようとすると気持ちと声帯が合ってないんでしょうね。そこが難しかったです。

――特に苦労したシーンは?

最初に仮面ライダーをやっていたこともあって、戦っていたり、激しいシーンはなんとなく雰囲気わかったんですけど、シリアスなシーンが難しかったですね。
俳優さんの呼吸のタイミングと最初合わなくて。平野(綾)さんとかから「胸を見たら呼吸のタイミングわかるよ」とアドバイスをもらい、「なるほど」って思いながらやっていました。――注目してほしいシーンはありますか?

敵にほっぺたを触られながら「何歳だ?」と聞かれ、シャザムが「ほぼ15歳」と答えるセリフがすごい好きでした。そんなヒーローいないじゃないですか! 口をむっとして「ほぼ15歳」って言うのが可愛いなと思って。

――福田監督とのやりとりで印象に残っていることを教えてください。

福田さんはコメディのイメージが強いから、笑いのところを重点的にやっているイメージがありますけど、今回感動したのが、後半すごく心情的にグッとくるんです。その辺りの福田さんの言葉のチョイスや言い回しなどの演出は、あんまり今まで見たことない形でしたね。福田さんもマジなんだなという気がしました。


○■アクションシーンに生かされた仮面ライダー経験

――福田監督から「ライダーの時を思い出して!」と言われて一発OKだったシーンもあったそうですが、仮面ライダー経験が生かされた場面はありましたか?

ありましたね。特にアクションシーンで、劣勢の状態から一発返したときのセリフとかに生かされたと思います。カメラワークとも連動するんです。だいたい決めゼリフのときはカメラが寄って来る。タイム感は、仮面ライダーで身についているかもしれないですね。

――仮面ライダーの経験はやはり大きいんですね。役者としての軸になっている部分があったら教えてください。

一番最初に奮い立ってやったものだし、ライダーのセリフってすごく見得切りがはっきりしているというか、ド正面にかっこつけて真っすぐ言葉を言うことが多かったので、勇気がつきました。
お芝居だと普段自分がなかなか使わない表現や、ちょっと照れるなっていう言葉を言わなきゃいけなかったりしますが、そこで違う表現に逃げるのではなく、なるべくその言い方をしたいなっていうときに助かっています。

――勇気、とても大切ですね!

勇気でかいっすよ! とはいえ、羞恥心がすり減ってよくわからなくもなっているんです。恥ずかしいという気持ちがなくなったら感動しなくなる。ロボットと同じで感情がないわけですから、それは失ってはいけない。とはいえ裸になるのも慣れちゃっている自分もいるから難しいところです。

●シャザムと同じく中身は子供!?

――そもそもアメコミはお好きですか?

『スーパーマン』や『バットマン』は親が大好きで、うちの弟はスーパーマンから名前をとっていたりするくらい好きなので、その2つはずっと見ていました。『スーサイド・スクワッド』とか最近の作品もほぼほぼ見ています。

――とすると、やはり今回のお仕事は喜びもひとしおだったのでは?

そうなんです。
だからびっくりしました! この作品には、アメコミ好きにはたまらないサプライズもあって、それもうれしかったです。

――仮面ライダー以来のヒーロー役は、中身は子供というとてもユニークなヒーローになりましたが、福田監督は起用の理由として菅田さんはシャザムに似ているとおっしゃっていました。ご自身ではどう思っていますか?

どうなんでしょうね、似ていたらまずいですからね。でもあんまり否定できない感じもあって(笑)。年齢的には26で、それこそ先生役をやっているくらいなんで、でも子供なんでしょうね。

(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

――自分で子供だなと感じる瞬間が?

そもそも大人だと思っていないから子供だと思う機会がない。逆にちょっと今の大人だなって感じるときのほうがあるから、たぶん子供なんでしょうね。16歳からこの仕事をやっているとあんまり大人という感覚が…。
成人式も行っていないし、成人式出ればよかったですね。そうしたら感覚が違ったかもしれないです。

――逆に、シャザムと全然違うという部分はありますか?

あんまりないかもしれないです(笑)。シャザムをやっていて一番おもしろかったのは、ザッカリー・リーヴァイさん演じるシャザムの笑い声。あれをやるのがすっごい楽しくて、キーが似ているのかなと。あの“ヒャッハー!”って感じはすごい好きでしたね。

――ご自身としては、子供の感覚を忘れていないというのは強みだと感じていますか? それとも大人の感覚がもっと必要だと感じていますか?

ちゃんと大人にならなきゃなって思うときはありますよ。確定申告とか、税金のこととか、家を借りるとか、水道代払わなきゃとか、いろいろあるじゃないですか(笑)。
そういう最低限のものはちゃんとやらなきゃいけないなと思いますね。

――役者としてはどうでしょうか?

純粋であるに越したことはないと思うんです。新鮮さがあったほうがいいと思う。とはいえ、分別がわかっているからできるお芝居もあるから、やりようですよね。

○■誰もが知っている有名キャラの声をいつか

――今回ハリウッド映画の吹き替えを担当され、海外のお仕事への興味が高まったということはありますか?

そうですね。ずっとそんなこともおぼろげには抱いていたりもするんですけど、いかんせん英語ができないので勉強しなきゃなと思います。飛び込みでずっと向こうに行ってやれる環境ができたら、そんなチャンスがあったらやりたいです。でもまずは日本ですね。日本でなにも成していないのに海外に行ったら逃げたみたいな感じになると思うので。

――今後、初挑戦してみたいことは?

なんでしょう…でも、もっとアフレコやってみたいと思いました。アニメーションでも吹き替えでも。俳優として、生涯のうちに一つでもみんながわかるキャラクターをやれたらいいですよね。“アンパンマンといえば”みたいな。そういうのを作れたらうれしいですね。

――例えば、どんなキャラに!?

昔、『アイシールド21』で、派手な金髪のアメフト部の選手の役をロンドンブーツ1号2号の(田村)淳さんがやっていたんですよ。淳さんだったというのは大人になってから知ったんですけど、当時それを見てアメフトを始めたので、そういうキャラクターができたらうれしいです。

■プロフィール
菅田将暉
1993年2月21日生まれ、大阪府出身。特撮ドラマ『仮面ライダーW』(09~10)でデビュー。13年の主演作『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。翌14年には『そこのみにて光輝く』などで第24回日本映画批評家大賞助演男優賞他数々の映画賞を受賞し、17年度は寺山修司原作『あゝ、荒野』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。そのほかの代表作に、ドラマ『トドメの接吻』、『dele』、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』、映画『キセキ -あの日のソビト-』、『帝一の國』、『火花』、『となりの怪物くん』など、7月26日公開の『アルキメデスの大戦』に出演する他、『タロウのバカ』(今秋公開)がある。

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