「犬は人につき、猫は家につく」っていうけど本当なの?
■家につく猫もいる
猫のテリトリーには2種類あり、自分が安心してくつろげるホームテリトリーと、狩りをして獲物をとらえる場所であるハンティングテリトリーとがあります。猫にとって「家」は文字通り、このホームテリトリーにあたります。
ホームテリトリーは自分が安心してくつろげる場所でなくてはならないため、ここに他の動物、例えば知らない猫や犬、知らない人などが入ってくると、その相手を攻撃して追っ払おうとしたり、警戒して隠れたまま出てこなくなったりします。逆に自分がホームテリトリーから追い出されること(人間によって環境を変えられること)も、猫にとっては危機的な状況。激しく威嚇したり、隠れて出てこなくなったりします。
飼い主さんがすぐそばにいるにも関わらず、知らない人や動物に激しい威嚇を見せたり、飼い主さんが外に連れ出そうとすると、猫が激しく威嚇してきたりするような場合は、「人よりも家についている」状態の猫だということが考えられます。
■一方で、家につかない猫もいる
一方で、小さい頃から人間がしっかり愛情をそそいで育てた猫は、家よりも人につくことがあります。
このような猫の場合は、テリトリー内に知らない動物が入ってきたり、知らない人間が入ってきたりした時も、あいさつするなど社交性を見せ、積極的に甘えてきます。また猫を外へ連れだし、移動させてもあまり動じないことがあります。
環境の変化に動じないということは、つまり自分が安心してくつろげる場所が、環境以外のところにちゃんとあるということ。この場合は、この猫は「人につく」タイプの子であると言えるでしょう。
■自分の猫が「家につく」タイプか、「人につく」タイプかを見極めよう
「家につく」タイプの猫の場合、環境の変化が大きなストレスを猫に与えてしまうため、引っ越しやペットホテルまたは知人に預けるということが、かなり難しくなります。時には病院に連れて行くのにも、大暴れしてしまったり…。家についている猫なら、旅行へ行くにしても引っ越しするにしても、猫にストレスを与えないよう、十分注意しながら行う必要があるでしょう。
「人につく」タイプの猫なら、上記のようなことは少なくなりますが、極端に飼い主さんに甘える猫の場合、飼い主さんと離れることを怖がったり、臆病になったりすることもあるようです。
ひとり遊びを覚えさせたり、狩りの遊びをさせ大人の自覚をつけせたりする訓練も必要になるでしょう。
完全室内飼育が当たり前になりつつある現在では、「人につく」猫がたくさんいます。自分の猫が、どちらのタイプかを見極め、よりストレスの少ない暮らし方を提供できるようにしましょう。