「香取慎吾は俳優として本当にすごい」『凪待ち』白石和彌監督が受けた衝撃
こんなにすさんだ香取慎吾は見たことがない。2018年の映画賞を総なめにした『孤狼の血』(2018年)や『麻雀放浪記2020』(19)の白石和彌監督が、香取を主演に迎えたヒューマンサスペンス映画『凪待ち』(6月28日公開)を観たら、きっと誰もが驚くのではないか。
ギャンブル依存症の木野本郁男(香取)が、恋人・亜弓(西田尚美)の故郷である石巻で再出発をしようとする。亜弓の実家で、彼女の父・勝美(吉澤健)や娘の美波(恒松祐里)と暮らすことになった郁男は、紹介された印刷会社で働くことになる。しかし、ある日、亜弓を亡くし、仕事も失ってしまった郁男は、またギャンブルから抜け出せなくなる。
香取から「白石さんが僕を呼んでくれて宝物ができました」という賛辞を送られた白石監督に単独インタビュー。監督の口から出た香取の印象は「衝撃的!」、「本当にすごい!」といった感嘆符なしでは言い表せない感想ばかりだった。白石監督が激賞する俳優・香取慎吾の魅力とは?
――香取慎吾さんと“喪失と再生”をテーマに映画をやってみたいと思ったそうですが、今回、被災地を舞台にした理由について教えてください。
東日本大震災後、僕は映画監督としてどこかで震災と向き合わなければいけないという思いがずっとありながら、なかなかそこへは行けませんでした。