ノブコブ吉村、ボーイレスク3年目で手応え「もう1回バブルを作りたい」
●月1開催で定着「ようやく根付いてきた」
お笑いコンビ・平成ノブシコブシの吉村崇が、服を脱いでいく過程の“じらし”をショーとして楽しむパフォーマンス「バーレスク」の男性版「ボーイレスク」に力を注いでいる。吉本芸人によるボーイレスクショー「Butterfly Tokyo」を2017年に立ち上げ、今年で3年目に突入。ともに活動しているイシバシハザマのハザマ陽平、てのりタイガーのムラジュンらと共にインタビューに応えてくれた吉村は、「少しずつ根付いてきた」と手応えを語る。
昨年9月には、ニューヨークで行われた世界3大バーレスクイベント「NewYork BurlesqueFestival」に参加し、エンターテインメントに対する桁違いの思いに刺激を受けたそう。発想も広がったようで、8月16日に東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGEで開催するスペシャル公演「Butterfly Tokyo ~Premium~」では、公演前から観客をもてなす新たな試みにも挑戦する。そんな吉村の将来的な目標は、常設の会場で毎日のように開催すること。「もう1回バブルを作りたい」と意気込んでいる。
――はじめにボーイレスクショーを始めた経緯を教えてください。
吉村:2017年に始めたんですが、バーレスクのショーを観に行って面白いなと思ったんです。僕はチップを渡すのもすごい好きで、昔ラスベガスに行ったときにチップの渡し方が“ファンタジスタ”と言われて、“チップ芸”ってあるんだなって。忍者っぽい動きで渡したり、メガネに挟んで渡したり、いろんな渡し方をしたら喜んでくれて、そういう盛り上がり方ができるのもいいなと思いました。今は月1くらいで開催しています。
――会場はずっと同じですか?
吉村:はじめは新宿2丁目で2年間くらいやって、今年の6月から銀座でやるようになりました。8月は渋谷でやりますが、ホームは銀座になる予定です。
――新宿2丁目から銀座に変えた理由は?
吉村:2丁目もすごくよかったんですが、今後メンバーを増やしたいと思っていて、そのためには踊るスペースが狭かったんです。また、2丁目だとなかなか足を運びにくいという人も、銀座だと入りやすいかなと。
もう1つ、2丁目だと早い時間帯しかとれなかったので、夜お酒が飲める時間にやりたいと思いました。――メンバーはどうやって決めたのでしょうか?
吉村:僕はもともとプレゼンターという役割だったので、パフォーマンスはハザマをメインに、踊りがうまい人、顔がいい人、筋肉がある人など、いろんな人を集めたんです。僕はスケジュールが合えばMCをやっていたんですけど、いつの間にか毎回出て踊るように。やっぱ契約って口じゃダメなんだなって(笑)
ハザマ:ダメですよ!
――これまでボーイレスクショーを3年やってきて、やりがいをどう感じていますか?
吉村:3年間、月1で物事をやるというのは、けっこうなことだと思う。今ではお客さんも練習に入れて公開稽古を週3くらいでしていて、お客さんも一緒に身体を動かしています。ゆくゆくはそこからパフォーマーを出していけたらとも思っているんです。3年でようやく根付いてきたなと。まだまだ小さな根付きですけど、もっと深く根を張れば大きくなるのかなという最中。
発芽したかしてないくらいですね!
――週3回くらい稽古ということですが、吉村さんはどれくらい参加されているんですか?
吉村:僕はあまり参加できていなくて、個別練習をしています。映像をもらって深夜にやったりしています。
ハザマ:いやいや、個別練習も(笑)
吉村:実際はほとんど練習はやってないですね。渋谷のイベントで新作をやるので、それは3回くらい練習して本番を迎えますけど。
――体を鍛えられているのかなと思ったのですが、肉体改造はしているんですか?
吉村:全然鍛えてないです(笑)。でも体型はそんなに関係ないんです。海外でも、太っている男の人もスーパーパフォーマーとして活躍していますし。
●世界3大バーレスクイベント出演で「度胸がついた」
――昨年9月に、「NewYork BurlesqueFestival」に出演されましたが、どういう経緯で出演が決まったのでしょうか?
吉村:予選が映像審査なんです。
本戦ではなく前夜祭のステージでしたが、こっちで映像を撮って送ったら受かったんです。
ハザマ:通過する確率はむちゃくちゃ低くて、奇跡なんです。振り付けの先生が大会に出られた経験があって、審査が通るように計算して演目を作ってくれて、受かることができました。
――海外でのステージはどんな経験になりましたか?
吉村:ニューヨークで、しかも初めて外で公演をやったので、すごくいい経験になりました。信じられないくらい緊張もしましたし、芸歴も18、19年くらいですけど、久しぶりに公演でネタ合わせしたみたいな、それくらいの緊張感でやったのは久しぶりでした。
ハザマ:会場の大きさもお客さんのリアクションもショーの受け入れ方も、日本と全然違うなと感じました。
ムラジュン:出演前後のリアクションが真逆で、アメリカはいいものはちゃんといいって手のひら返して称賛してくれるだなと。僕たちは最初「I LOVE NEWYORK」ってデザインされたお揃いのパーカーを着ていたんですけど、それが逆効果で、日本人がなめた態度で来ているって捉え方をしている方もいたと思うんですけど、パフォーマンスが終わると「すごかったよ」「よかったよ」ってみんな声をかけてくれました。
吉村:別の機会にまたニューヨークに行ったらその評判が広まっていて、外国人もそうですけど、向こうで働いて日本人の方が「みんな話してましたよ」って話していて、たった1回出ただけでもこんなに広がるし、すごい興味を持ってくれるという意味では、エンターテインメントに対する思いが桁違いだなと感じました。
――海外での経験によって成長したなと感じていることはありますか?
吉村:度胸がつきました。初めての経験をしたというのもありますし、外国の人を盛り上げることができるんだと思ったら、度胸がついた気がします。
――ニューヨークのステージはピースの綾部祐二さんは見に来られましたか?
吉村:綾部さんは亡くなったんじゃないかな?(笑)
ハザマ:ご存命ですよ!
吉村:探したんですけど、そのときは会えなかったんです(笑)
――吉村さんがニューヨークでパフォーマンスしたというのは、綾部さんとしてはすごく刺激を受けたんじゃないですか?
吉村:どうでしょうかね。表には出さない人ですから。でもそこからインスタのアップは激しくなったというか、意識しているなというのはありますね(笑)
●目標は常設会場で毎日開催! 日本で大会開催も
――8月16日の渋谷でのショーはどのような内容に?
吉村:もともと年に1回は大きいところでやろうと思っていて、去年も同じ場所でやったんですが、今回は金額が一律ではなく2万円、4万円の席も作って、近い遠いだけではないサービスをやるんです。4万円の席は、東京タワーで集合してリムジンで巡って、メンバーがお酒をついだりしながら会場に向かい、みんながエスコートするという内容で、こういった仕組みは初めてです。ハザマ:やることがだんだんゴージャスになっています。
吉村さんの発想が、日本のお笑いのネタライブではなく、すべてがショーという風になっていますね。
――それは、ニューヨークでの経験が影響しているのでしょうか?
吉村:それはあると思います。向こうでショーを見たり、ベガスに行ってショーを見たりしたときの圧倒的な格差というか、でも後ろの人も前の人たちを見てすごい楽しんでいて面白いなって。こういうショーをやって、もう1回バブルを作りたい。政治とかに任せるのではなく、こっちでノリでやっちゃおうぜっていう感じです(笑)
――今後の目標は?
吉村:チップ文化を根付かせたいというのがありますし、今は月1ですけど、常設のクラブみたいなところで毎日のようにできるお客さんの数、タレントの数、それを実現したいですね。
――常設はいつ頃目標に考えていますか?
吉村:東京オリンピックが終わったくらいですかね。オリンピックのために建てたけど、終わったら使いようがないっていうような施設があるかもしれないじゃないですか。そういうところでできたらいいなと思います。
――メンバーの人数を増やすというのはどれくらい?
吉村:来てくれれば来てくれるだけいいと思います。なぜかというと、こっちから支払うギャラより、いただいたチップで食べていければいいわけですから、直接お客様が育ててくれるというか、SHOWROOMの投げ銭みたいなシステムですよね。それのもっと原始的なことをやっているだけなんで、やりたい人は吉本じゃなくても、芸人じゃなくてもいいです。門戸は広く!
――常に募集している形ですか?
吉村:ずっと募集しているんですけど、±0です。たまに抜けたり、僕がたまに強引につれてきたり、ほぼほぼ変動ないです(笑)
――来年のオリンピックにあわせて海外の方も日本に来ますが、海外の人に日本のボーイレスクを見せたいという思いも?
吉村:見せたいですね。だからちょっと和のテイストというか、忍者だったり侍だったり、J-POPとかも入れていけたらいいなと思っています。あと、日本でも大会ができたらいいなと。ベガス、ニューヨーク、ロンドンで3大大会が行われていますが、東京でもできたらいいなと思っています。