湾曲ディスプレイの秘密とは? LGが湾曲ディスプレイ採用グローバルスマホ「LG G Flex」を公開!! (1) 湾曲スマホ「LG G Flex」の秘密とは? その1
○なぜ曲げた? 湾曲ボディの利点とは
LG G Flexは、ボディ全体が弧を描くように曲がっているのが最大の特徴。なぜ曲げる必要があったのだろうか。実はこれにより、様々な利点が考えられるというのだ。都内で詳しい説明を聞くことができた。
ひとつは通話がしやすくなること。
一般的に、ディスプレイが大型化するとスピーカーを耳に当てたときにマイクが遠ざかってしまう。このため通話がしにくくなる、というのがこれまでの常識だった。しかしLG G Flexはボディが曲がっているためマイクが口元にくる。ひいては通話がしやすくなるというのだ。
LGがもっとも強くアピールするのが動画視聴の際のメリットで、これが端末開発の発端にもなっている。具体的には、ディスプレイを曲げることでユーザーは動画コンテンツに没入できる。また画面に奥行きが出るため、劇場のような臨場感を味わうことができるとのことだ。
現在、グローバルではスマートフォンのディスプレイが大型化する傾向にある。
他方、動画コンテンツを配信するサービスが多様化しつつある。こうした背景から、市場では「画面の大きなスマホで快適に動画を視聴したい」というニーズが高まりつつある。そこでLGでは動画の視聴に最適なスマートフォンを追求した。その結果が、湾曲ディスプレイの6インチスマートフォンLG G Flexの誕生につながったのだという。
このほか背面が丸みを帯びているため、手にもよくなじむ。また指とディスプレイの距離を一定に保てるため文字入力がしやすく、フリックなどによるWebサイトのページ遷移もやりやすいという。
○曲がっているため負荷に弱い? 耐久性について解説
気になるのが耐久性だが、通常のスマートフォンと同程度に頑丈にできている。「曲がっているため負荷に弱い」ということは決してないという。
LG G Flexが耐えられる荷重は、公表値では「40kg」。裏話として、工場ではそれ以上の荷重で実験しているが問題はないそうだ。したがって、お尻のポケットに入れても安心だろう。ただ、ストレートタイプのスマートフォンに比べ、湾曲した背面の中央部に傷がつきやすい。このため、塗装にはとある工夫を凝らしている。
それは「Self Healing(セルフヒーリング)」と呼ばれる特殊な塗料を使うというもの。これにより日常的に使用している中で自然についてしまう擦り傷程度なら、自然に回復できるという。すでに自動車やノートPCなどの製品の一部には利用されている。
ただ、スマートフォンに応用したのは「おそらく初めて」(担当者)とのことだった。
○曲がり具合は「700R」がベスト?
LGでは、6インチ端末に最適なカーブの度合いを200種類ほど試したという。その結果、「700R」という曲がり方がベストという結論に至った。ディスプレイを曲げる技術については、実は前々からクリアできていた。
●湾曲スマホ「LG G Flex」の秘密とは? その2
しかしバッテリーを曲げることが難題だった。この難題をクリアし製品化にこぎ着けたのは、グループ会社LGケミカルの技術開発力のおかげだったという。
ディスプレイにはプラスチックOLED(P-OLED)を採用した。ガラス素材でできた有機ELより柔軟性に優れているという。
またReal RGB OLEDを採用したことで、従来機種に比べて発色が向上している。
UXも充実している。例えば新機能「Dual Window(デュアルウィンドウ)」を利用すれば、6インチのディスプレイを半分に分けて別々のアプリを同時に利用できる。ファイルやURLのドラッグ&ドロップにも対応しており、PCライクに使うことができる。新機能の「UrgentCall Alert(アージェントコールアラート)」は、同じ相手から何度も電話がかかってくるとLEDが赤く光って知らせるという機能。緊急の場合に”電話に出そびれる”ことがなくなる。
基本的なスペックは以下の通り。ディスプレイは6インチHD(1280×720ドット)プラスチックOLEDを採用。
プロセッサには2.26GHzのクアッドコアCPU(Snapdragon 800 MSM8974)を搭載する。RAMは2GB、ROMは32GB。背面には1300万画素、前面には210万画素のカメラを備える。バッテリーは3500mAhで、ユーザーが任意に交換することはできない仕様だ。サイズは約160.5×81.6×7.9(最厚部8.7)mm、重さは約177g。ボディカラーはチタンシルバーを用意する。Android OS 4.2.2を搭載している。防水には対応していない。
今回、LG G Flexを開発した狙いについて担当者は「スマートフォンは日々、進化している。そうした中で、消費者に新しいユーザーエクスペリエンスを体験できる端末を提供する、という意味合いが強かった」と説明していた。日本国内での展開は未定だが、もし発売されれば大きな話題になることは間違いないだろう。期待して待ちたい。
(記事提供:AndroWire編集部)