2019年12月8日、仙台を皮切りに最後の来日公演が始まるKISS。『最後最後詐欺』の来日ミュージシャンとは違うのだ。KISSの場合、あまりに過酷な労働環境である。走り回ってワイヤーで吊り下げられてのポール・スタンレイ67歳。血を吐いて、火を吹いてのジーン・シモンズ70歳。いずれも20kgに及ぶコスチュームを着けてのことだ。
僕なら2時間ステージに立ってるだけだってできない。足が痛くなる、腰が痛くなる、背中が痛くなる。
本当にショーマンシップの鑑として、エンターテイナーとして立派な人たちだと思う、尊敬に値する。その人たちが最後だと言っているのだ。『最後最後詐欺』のヤカラ(一番の代表曲を座って弾いてしかもソロは聞いたこともない若手のギタリストに弾かせるミュージシャン)とは違うのだ。
1977年4月1日の初来日武道館を僕は見ている。次の来日の1978年までは熱心だったが、その数年後の「アンマスクド」で完全に興味を失い、メンバーの脱退などもあり、すっかりライブには足を運ばなくなっていった。しかし、僕の知らない間にメイクも戻し、そこから20年以上の時を経て盛大で楽しいライブを繰り広げていたことに気がついた。