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奥様はコマガール (32) 強情な妻の憎まれ口を押さえつける方法

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奥様はコマガール (32) 強情な妻の憎まれ口を押さえつける方法
素直に「はい」や「ごめんなさい」が言えないタイプの人がいる。

このタイプは他人にミスなどを指摘されたとき、真っ先に「いや、違うんです」「いや、実はそれは……」といった言葉が口をつき、相手をますます怒らせてしまう。

会社に一人はいるだろう。

もしかしたら、妻のチーもその手のタイプかもしれない。

例えばチーは、歯磨きをしながら部屋の中で何か別の用事をすることが多く、したがって最後に口をゆすぐ際に洗面所ではなく、キッチンの流しを使うことがある。

これ自体は僕も特に気にならない。

洗面所であろうが、キッチンの流しであろうが、口をゆすいだあとに水を流して綺麗にしておけば、どっちでも一緒だ。

しかし、チーはこのあと、歯ブラシをそのままキッチンの流しの脇に置き去りにすることが多く、これに関しては少々いただけない。


使用した歯ブラシは、すぐに元の場所に戻してほしいのだ。

こういった置き去り系の例は、他にもたくさんある。

チーは会社から帰宅すると、バッグをソファーに置き去りにしたまま数時間放置したり、チラシ類を食卓の上に置き去りにしたまま数日間放置したり、すなわちチーは物をすぐに片付けないタイプなのだろう。

一方の僕は、チー曰く「片付け魔」である。

部屋に物が散在している様子が不快でならないため、帰宅するとまずはアウター類をクローゼットにしまい、鞄類を部屋の所定の位置に戻す。

例えば旅行などから帰ってきたときもそうだ。

家に入るなり、まずはキャリーバッグの中身をすべて元に戻し、出発前の状態に戻してからじゃないと、人心地つけない。

雑菌関係にはてんで疎く、床に落ちた菓子でも平気で拾って食べるような大雑把な僕であるが、こと整理整頓に関しては、チーも辟易するぐらいのコマボーイなのだ。


したがって、チーと結婚して以降、前述した彼女の置き去り癖にストレスが溜まり、これまでに何度も「すぐに片付けてほしい」とお願いしてきた。

キッチンの歯ブラシなんかもってのほかである。

僕はそれを見つけるたびに、「はい、まただよー。

歯ブラシはすぐ片付けようねえ」とやんわり釘を刺しながら、率先して片付けるわけだ。

ここで冒頭の話題に戻るが、このときチーは真っ先に「うん」や「ごめん」が言えないタイプなのだ。必ず「いや、違うの。

今やろうと思ってたんだけど、ちょっと……(かくかくしかじか)」と、それをすぐにやらなかった理由を説明しようとする。

僕が「別にいいよ。


次から気をつければ」と言っても、チーの説明は終わらない。

「いや、ちゃんと理由を聞いて。

忘れてたわけじゃなくて、これには事情があって……」と延々続くわけだ。

これをされると、僕はますますイライラしてしまう。

正直、歯ブラシなんか元に戻しさえすれば、なんの問題もないわけで、それをしなかった理由や事情には興味がない。

「ごめん。

次から気をつける」と言ってさえくれれば、何事もなく、すぐに終わるのだ。

聞くところによると、チーは子供のころから素直に「ごめんなさい」が言えないタイプだったらしい。


チーのお母さん(以後チーママ)に怒られたときも、つい反射的に憎まれ口を叩いてしまい、何度もチーママを呆れさせたとか。

「こら、チーちゃん! ちゃんと謝りなさい! 」と鬼の形相で迫るチーママに「イヤでーす」と反抗を重ね、「謝るまで許さないよ!」と言われると「許してくれなくても結構でーす」と口を尖らせる。

「まったく、あんたは本当に口が減らないね!」「口はひとつしかないのに、それが減ったら大変でーす」「どの口が言うか! 」「この口でーす」やれやれ。

本当に憎たらしいガキである。

チー曰く、ただ意地になっていただけらしいのだが、その度合いが少々行きすぎなのだろう。

引くということを知らないのだ。

なお、そんなチーに謝らせようと、怒ったチーママが幼いチーを車に乗せて、夜の山奥に連れて行ったことがあるという。

「ほら、チーちゃん。


ちゃんと『ごめんなさい』って言わないと、山に捨てちゃうよ! 」。

チーママは子供の恐怖心を煽る作戦に出たわけだ。

しかし、それでも車内のチーは、なかなか折れなかったというからすごい。

「イヤでーす。

絶対、謝りませーん。

山に子供を捨てたら、事件になっちゃいまーす。

お母さんが警察に捕まりまーす」などと、クレヨンしんちゃんもびっくりの憎まれ口を叩き続け、チーママをますます怒らせていく。

果たしてチーママも引くに引けなくなり、車はどんどん山奥へ。


いつのまにか周囲は真っ暗闇の、まさに獣道となっていた。すると、そこでようやく子供心に恐怖を感じたのか、チーはこう漏らしたという。

「ごめんなさぁい……。

山奥、怖いよう……」。

しかも号泣だったらしい。

さっきまでの生意気さが嘘のような変わりようだ。

それを見たチーママも、あまりのギャップの大きさに思わず笑ってしまったのか、すぐに許してくれたという。

チーは強情で生意気な性格のわりに、極度の怖がりなのだ。


だから僕も、これからはチーを怖がらせる作戦で、彼女の強情な口を抑えにかかろうと思う。

そうすれば、素直に「うん」や「ごめん」と言ってくれるようになるのかもしれないが、その具体策を考えること自体が面倒くさい今日のこのごろである。

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