スッチーは見た (9) おかまちゃんパーサー、鬼の形相で決死の……
一緒に乗務するクルーって毎回フライトのたびに変わるんだけど、その日のチーフパーサーはおかまで有名なメルちゃん。
まつ毛が長くて端正な顔だち、話すときになぜか小指を立てるからしなやかさを感じるやさしい男性チーフパーサーよ。
その日は福岡に向かうフライトで、お客様のほとんどが日本人。
外国人のお客様に比べて日本人のお客さまはお行儀が良く(連載第7回「桃事件」のようなキレるお客さまはほんのひとにぎり)、ドリンク・ミールサービス共にとても穏やかに終わったわ。
やがて機体は着陸態勢へ。
お客様のテーブルやフットレスト、シートベルトや座席が元の位置に戻っているかなど客室を確認し、私たちもCA席に座って、着陸を待つだけの態勢をとってたときよ。
通常だとそのまま何事もなくスムーズにランディング、のはずが、席を立っているお客さまがいるとの情報が入ってきたのね。
日本人男性のお客様が通路に立って、自分の座席の上にある棚から荷物をとりだそうとしているとのこと。
もう着陸間際なので、気の早いお客さまが着離前に荷物を取り出そうとしていたのかしら。
それともなにか大事なものを取り出そうとしていたの??保安要員としての責務もある私たち。