昨年12月のECB(欧州中央銀行)による期間3年の資金供給に続き、米経済指標に予想を上回るものが目立つようになったこと、さらに、ギリシャ向けの追加金融支援が前進し始めたこともあり、投資家のリスク選好度が回復を見せています。
ただし、地政学リスクの高まりに加え、投機的な資金の流入もあり、原油価格が騰勢を強めており、今後のリスク要因として注目を集めつつあります。
足元での原油価格の上昇の主な背景の一つに、昨秋以降のイランの核開発問題があります。
核査察に非協力的なイランに対して、欧米等は同国産原油の調達削減などの経済制裁を行なっています。
これに伴なう原油供給量の低下については、サウジアラビアが増産で対応する姿勢を見せていますが、国内事情から、原油価格の押し下げは望んでいない模様です。
より懸念されているのは、イランと敵対するイスラエルの動静です。
イランの核開発阻止に向けたイスラエルによる軍事攻撃が懸念されているものの、米国が自制を求めていることなどから、実現の可能性は低いとみられます。
しかし、大統領選挙を秋に控えたオバマ政権は、国内のユダヤ系の票を積み上げるためにも、イスラエル寄りの姿勢をとり、イランに対して厳しい対応を続けるとみられます。