マネーのトリビア (16) 「住宅ローン」が払えなくなりそう…”夜逃げ”しなくても済む方法は?
そのうえ、ローンの返済は長い年月にわたって続くものなので、現在返済中の人や、これからマイホームを買おうと考えている人にとって、もし給与やボーナスが減って毎月の住宅ローンの返済が滞ったらどうなるのかは気になるところでしょう。
住宅ローンの返済は、銀行口座からの引き落としで行います。
もし口座の残高が足りず返済日に引き落としができなかったら、銀行から連絡があります。
その段階ですぐに入金すれば問題ありません。
でも、引き落とせない状態が6カ月(銀行によっては3カ月)続くと、「延滞」ということになり、銀行から支払いをするよう督促が来ます。
それでも払えないと、信用保証会社が借り主に代わってローンの残りをすべて銀行に支払ってくれます(住宅ローンを借りるときに保証料を払うのはこのためです)。
とはいっても、それでローンがなくなるわけではなく、それ以降は借り主は信用保証会社に返済しなければなりません。
それも、信用保証会社は、残りのローンを一括で返済するよう求めてきます。
収入が減るなどしてローンの返済ができなくなった人に、残りを一括で返済しろといってもムリな話。
そこで保証会社は最終的に、ローンの対象となっている住宅を競売にかけて売却し、その代金で資金を回収します。
マイホームが競売にかけられて第三者のものになってしまったら、そこに住み続けることはできません。
ですから、そうなる前に対策をとる必要があります。
毎月あるいはボーナス時の返済が厳しくなったら、とにかく早めに銀行に相談しましょう。
それによって、次のような対策がとれます。
(1)ができるくらいなら、あまり問題はないでしょう。
(2)は、返済はラクになりますが、ローンの総支払額は増えます。
(3)(4)は、一時的に返済の負担を軽くしてもらうだけなので、その後収入が増えなければ根本的な解決にはなりません。
でも、こうした手を打って少しずつでも返済を続けているあいだは競売にかけられることはないので、その間に、専業主婦だった妻が働きに出たり、サイドビジネスで収入を増やしたり、あるいは自分で不動産会社にマイホームを売る(任意売却)といった手が打てます。任意売却はマイホームを手放すことになりますが、競売より高く売れるのがふつうです。
マイホームを失わない方法には、裁判所を通して行う「個人版民事再生手続き」という制度があります。
これは、借金を一部カットしてもらい、将来の収入で残りの借金を原則3年、最長5年で返済していくというもの。
住宅ローンの返済も最長10年繰り延べできるので、マイホームを手放さなくてすみます。
この制度は、自己破産を避けるために作られたもので、利用するには自分の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てを行います。
このように、住宅ローンの返済が苦しくなっても、乗り越える手段はあります。
ただ、「もう払えない」となってからではとれる手段も限られてきます。
とにかく早めに対策をとる、ということを覚えておいてください。
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