奥様はコマガール (34) 妻の無駄遣いは食器にあり
山田家は夫婦二人暮らしのわりに、食器の洗い物の量が多いと思う。
我らは共働きのため、家事を夫婦で分担しており、食器の洗い物に関しては基本的に僕が担当している。
中でも特に目を引くのが、コップ類と小さなスプーン類の多さである。
僕は小さなスプーン類を滅多に使わず、コップも毎日ひとつしか使わないため、そのほとんどがチーが使用したものであることはあきらかだ。
毎回の食器洗いのたびに、使用済みコップとスプーンが、それぞれ平均5個ずつぐらい流しの中で発見されるわけだ。
うーん、これはいったいどういうことだろう。
スプーン類はたぶん料理に使ったのではないかと推測できるのだが、コップに関してはまったく解せない。
チーは一人しかいないのに、なぜにそんなに何種類ものコップを使うのだろうか。
というわけで、チーをじっくり観察した。
観察スタートは夕飯後の食器洗いが終わってからだ。
つまり、この時点で家に使用済みコップやスプーンがひとつもない状態である。
その日の夕飯後、チーはソファーでくつろぎながらテレビを観ていた。
すると途中で立ち上がり、冷蔵庫に向かった。
中から冷えたウーロン茶を取り出し、洗いたてのコップになみなみと注ぐ。