奥様はコマガール (36) 悩める薄毛男子に訪れた奇跡(2)
頭髪が増えたのである。
近所の美容院から仕入れた超稀少かつ高価な某育毛剤を半信半疑で使用すること数カ月、ここにきて自分でも驚くぐらい頭髪の一本一本に昔懐かしいハリとコシが蘇り、さらに本数自体も明らかに増加。
かつてはあれほど悩んでいた薄毛の進行が今はあまり気にならなくなり、街を歩いていても雨や強風に動じなくなった。
そう、薄毛男子の天敵、雨と強風である。
これまでは外を歩いていて急に雨が降り出すと、途端に心が狼狽し、傘を持っていない場合は、すぐさまコンビニなどでビニール傘を購入したものだ。
薄くなった頭髪とは、いったん水に濡れると、小松菜のお浸しみたいに萎んでしまうからだ。
薄毛男子は「水も滴る、いい男」にはなりえないのである。
強風もしかりだ。
薄毛男子は頭髪を強風に煽られることを極端に嫌がるものだ、と僕は勝手に分析している。
少し考えてみればわかるだろう。
たとえば僕の場合は前髪の生え際の後退が気になる個所であったため、街で強い向かい風に前髪が煽られ、広くなった額が剥き出しになるたびに、顔面が蒼白したものだ。
薄毛男子にとって、TMレボリューションのPV(強風に煽られるやつ)