奥様はコマガール (37) 休日の敵は奥様の一時停止
不測の長旅である。
それもこれも、僕の没頭癖が悪いのだ。
それが考えごとであろうが、読書であろうが、何かにいったん没頭してしまうと、視野が一気に狭窄してしまう。
小学生のころ、近所の子供会行事で山にキャンプに行ったときも、みんなで集団移動中に赤トンボを見つけてしまい、それを追いかけるうちに集団からはぐれ、山奥で迷子になってしまった。
本を読みながら街を歩いていて、壁に正面衝突したことも数知れず。
僕の人生の中で、没頭のしすぎによって生まれた失敗は、それによる成功の数をはるかに凌ぐのだ。
妻のチーも、これと似たようなところがある。
ただし彼女の場合、没頭癖による失敗というより、無我の境地による失敗というほうが正しいと思う。
僕が見る限り、チーは「何も考えないこと」に没頭するというか、要するに日常生活の中でなんとなくボケーッとしていることが多く、それによって数々の失敗を生んできたわけだ。
たとえば、ある休日のチーはこうだった。その日は天気が良く、絶好の洗濯日和であったため、チーは昼食を済ませると、溜まっていた洗濯物を片付ける計画を企てていた。
昼食と食器の洗い物がすべて終わったのが、午後1時。