奥様はコマガール (37) 休日の敵は奥様の一時停止
洗濯に費やす時間は充分ある。
時間に余裕があるからか、チーはすぐに洗濯物にとりかからなかった。
愛犬のポンポン丸を抱きながら、リビングのソファーで食後のリラックスタイムをしばし満喫する。
その後、良きところで重い腰を上げ、いざ洗濯に移るつもりなのだろう。
ところが、である。
驚くなかれ、チーはその状態のまま、気づけば2時間も過ごしたのだ(マジです)。
「あー、やばい、もうこんな時間っ。
洗濯しなきゃ! 」時刻はすでに午後3時過ぎ。
冬場は日没が早いため、あっというまに時間の余裕がなくなった。
今から洗濯機を回すと、脱水が終わったころには4時を過ぎてしまうはずだ。
「なんで2時間も無駄にしたの? 」。
僕が訊ねると、チーは自分でも不思議そうに首をひねった。
「さあ、わかんない。
ボケーッとしてたら、いつのまにか2時間たってたの」。
なんでも、本当に無我の境地だったらしい。
最初はポンポンを愛でることに夢中だったのだが、途中から意識がプツンと切れ、その後の詳細な記憶はあまりないという。
だからといって、別に寝ていたという意識もなく、まさに光陰矢のごとし、というわけだ。