奥様はコマガール (38) 夫の祖父と核家族育ちの妻
他人に指摘されて初めて、自分の特技や才能に気づくことがある。
それまで自分の中では気にも留めていなかったこと、つまり無意識でなにげなくやっていただけのことが、他人から見ると、たちまち稀有な特技や才能として高い評価を受けるというわけだ。
ジミー大西の絵画なんか、その典型だろう。
天然ボケのお笑い芸人として活躍していたころの彼が、テレビ番組の企画で絵画を描き、それが専門家に思いもやらぬ高評価を受けたことで、本格的に画家に転身したのは有名な話だ。
個性は無自覚の中に宿るのだ。
そういう意味では、僕の特技はジジババ転がしかもしれない。
少々乱暴な書き方をしたので表現をソフトにすると、ご老人の扱いがうまいのかもしれない、ということだ。
これも妻のチーに指摘されて初めて気づいたのだが、言われてみれば確かにそうかもしれない。
僕は70代以上の高齢の方と仲睦まじく会話をすることに抵抗感がない。
理由は簡単で、僕は祖父母と同じ家で育ったため、ご老人に対する潜在的な慣れがあるわけだ。
とはいえ、この程度のことを特技と認定していいものなのか。
ご老人の扱いなんて、別に難しいことではなく、誰にでも簡単にできる単純なコミュニケーションのはずだ。