理系のための恋愛論 (433) 年度末って、いろいろトラブルが増えませんか
そんな風に感じる人、結構いるのではないかと思います(私はこういった状況を年度末疲れと呼んでいます)。
年度末となると、学校や職場から去っていく人がいる。
自分の苦手だった人や困らせられていた人との別れがもうすぐ。
そう思うと、それまでガマンしていたモヤモヤややるせない思いが一気に胸のうちから噴き出して、人間関係に波風を立たせてしまい、周囲の人々は「何事が起きたのか? 」と驚いてしまう……というのが、年度末疲れのメカニズムかもしれません。
もうすぐサヨナラしてしまうからって、そこまでひどいことをしなくてもと思うような事例もありますが、その相手がまだそんなに親しくない相手で、これでサヨウナラできるのでしたら、来年度からは気持ちを切り替えて、何とか乗り切っていこうと考えられることでしょう。
ところが、その相手が親しい人や友人、もしかすると彼女だったりした日には、衝撃は2倍、3倍、10倍にも膨れ上がってしまいます。
某IT企業で働くTくん(30才)は、男っぽく、グイグイ周囲を引っ張っていくリーダーシップのある男性です。
同じ会社で働く年下の彼女Sちゃん(26才)は、おっとりした性格で無口なほう。
彼氏に黙ってついてきている彼女、そんな風にTくんも周囲も思っていたのでした。
ところが最近のこと、Tくんの同期の友人Oくんが心配げな顔で、「おい、彼女と大丈夫? 」と困った顔で聞いてきたのです。
「え? どういうこと?? 」
「いや、特にほら、何もないならいいんだ」
「何だよ? 何かあった? ハッキリ言えよ」
「いや、ほら、あー、まいったな」
「いいから、言えって」そんな押し問答があった後、「実は」とOくんが話したのはSちゃんが職場のTくんの先輩にあたる男性と頻繁に2人で会っているらしいというウワサ話だったのです。
「まさか……」と驚くTくんに、「オレもウソだと思って、先輩にさりげなく確かめちゃったわけよ。
そうしたらやっぱり本当らしくてさ」。
呆然とするTくんに、「悪ぃな、こんな話してさ! 」と言って同僚はサササと席を立っていきました。男らしく直情性格のTくんは仕事帰りに彼女と会い、早速コトの真相を確かめることにしたのですが、Sちゃんに経緯を話すと、「えっ、△△先輩と2人で会ってる? そんなことしていないけど」と目を点にして言います。
「いや、でも本人から直接聞いたって」「……ふうん、それじゃあTくんは私の話とOさんの話、どっちを信じるの? 」「いや、それはSを信じたいけど」「……私としては、一瞬でも彼女の私を疑ったことも許せない。
直接先輩に聞いたって、自分でちゃんと聞いたの? それともOさんからの又聞きの話? 」とSちゃんと非常にまずい状態になってしまって、Tくんは大慌て。
男のプライドが先に立ち、先輩に「オレの彼女と会ってるんすか? 」とは聞けないと思っていたものの、このままでは大好きな彼女を失うことにもなりかねません。
翌日、意を決して、先輩男性をランチに誘い、「実は……」とランチに誘った理由を話したのでした。
すると、先輩男性もキョトンとした顔で、「いや、Sさんとは仕事上でも接点ないし、話したこともないけど……。
オマエ、Oにだまされてるんじゃないか? 」と言うのです。
Sちゃんと先輩で口裏を合わせて自分をだましているのか。
それとも、同僚がオレをだましたのか。
しかし、Oがウソをついているのだとしたら、一体何の目的で? というか、そんなことをしたところで何になるんだ。
意味がわからん。
頭がグルグルしましたが、冷静に考えてみると、先輩もSちゃんもウソをついたらすぐに顔に出てしまうような性格の持ち主だし、それにしてもやっぱり、同僚が根も葉もないウソを言ったのだろうか。
悩んだTくんは、やはり自分と同期の男性の友人に、カクカクシカジカとまた同じ話をしたのでした。
すると、「いやー、それはSちゃんと先輩はウソついてないだろ。
Oのイヤガラセだって。
オマエ、気づいてなかったの? 」
「な、何を? 」
「何を、じゃねーよ。
アイツ、Sちゃんのこと好きじゃん」
「えっ」Tくんは絶句してしまいました。
「あー、やっぱ気が付いてなかったんだ。
ううん、何だ、たぶん気づいてもくれないし気遣いもしてくれないオマエにハラが立って嫌がらせしたんだろ。
アイツ、転勤だし」。
まだ言葉が出てこないTくんに、「妬みっていうか嫉妬だよ。気にすんなよ」と友人に言われたものの頭が真っ白になり、珍しくしばらく思い悩んでしまったTくんなのでした。
このように、突然ワケのわからない災難が降りかかってくるのがこの季節。
もうすぐ春で、この先、新しい出会いや楽しいことも色々あるのですが、その前に、立つ鳥後を濁したくなってしまう人もいるかもしれない。
急に、驚くような出来事が降りかかってくるかもしれない。
それが年度末疲れなのです。
そのあたり、少し年度末疲れへの心構えをしておくと突然のアクシデントにも落ち着いて対応できることと思います。
相談する相手、信頼すべき相手を間違わないように、くれぐれも気をつけてほしいところです。
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酒井冬雪です。
自分ではストレスと思っていなくても、いつの間にかストレスになっていることってあるものです。
自分に合った方法で、上手にストレスを解消できるといいかなぁと思います。
では、またね。
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