トヨタ「86」オーナー必見、これが話題の「社長ドリフト」だ!
しかし「86」は安定した走りを見せた。
よく見ると前輪が確実に進路をとらえているとわかる。
その動きが力強い後輪を巧みに誘導していた。
トヨタ「86」の魅力を、自らのハンドルさばきで伝える男。
彼の名は”モリゾウ”、本名は豊田章男氏。
生産台数世界一を誇るトヨタ自動車の代表取締役社長である。
「トヨタの役員はハンドルを握らずにゴルフクラブを握ってるんでしょ?」あるジャーナリストの言葉が豊田章男氏の心に響いた。
実を言えば、彼は役員になるずっと前からレーシングドライバーだった。
評価ドライバーの免許をとったとき、チーフテストドライバーの成瀬弘氏から、「俺たちは命かけてるんだ。
偉そうなことを言う前に正しい運転というものを知ってくれ」と言われ、鍛えられた。
その努力が認められて、10年ほど前にニュルブルクリンクの24時間レースに誘われた。出場するには国際C級ライセンスが必要だ。
資格を取るとき、彼は”モリゾウ”として登録した。
本名では社内外に差し障りがあるかもしれない。
そのプレッシャーは、志半ばの自分を潰してしまうかもしれない。
だから”モリゾウ”。
トヨタでの立場とは一線を画し、クルマの楽しさと文化を伝える存在でありたいという気持ちもあった。