「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (8) 失意の時、さわかみ投信の澤上氏に出会う - 第一声は「お前はバカだな!」
私が初めて公募投資信託の運用に取り組んだ「未来図」というファンドは、やがてまったく販売(買い注文)がなくなり、解約だけの資金フローとなりました。
日本の公募投資信託は現在約4千本存在していますが、実際に日々コンスタントに買い注文があるファンドはたいがい新規設定の旬なものに限られており、大多数は資金が出て行くだけで徐々に残高が減っていくファンドか、解約され尽くされて一切の資金の動きがなくなった屍(しかばね)ファンドなのが実態です。
そしてひとたび解約一辺倒の資金フローに転じてしまうと、再び資金流入が蘇ることはほとんどありません。
こうしていつの間にか、販売会社の人たちからも忘れ去られてしまう、それがずっとこの業界の日常風景なのです。
こうした実状の中では、10年、20年、30年というスパンで運用者が長期的資産運用を目指そうとも、あるいは個人が将来に向けてじっくり資産形成へと行動しようにも、その機会を得ることができない。
かように日本の投資信託は販売会社の都合で投資家も運用会社も振り回され続けているのです。
文字通り「未来図」に最早未来がなくなったことで、私が描いていた投資信託での長期投資の実現という夢ははかなく散りました。