鉄道トリビア (148) 「はやぶさ」「はやて」まぎらわしいのになぜ共存できる?
4月27日からさらに1編成を追加し、合計11編成となった。
デビュー当初、E5系は「はやぶさ」専用だったが、現在は「はやて」「なすの」「やまびこ」でも活躍中だ。
「はやぶさ」と「はやて」は列車名が似ており、「はやて」のE5系投入で乗り間違える人が増えるのではないかと心配だ。
そういえば、かつては「他の列車と間違えやすい」という理由で消滅した列車名があった。
上越新幹線の「あさひ」だ。
長野新幹線「あさま」と間違えやすいという理由で廃止になっている。
「あさひ」は1982年の上越新幹線開業と同時に走り始めた。
当時は速達タイプの列車が「あさひ」で、新幹線の各駅に停車するのが「とき」だった。
「あさひ」の名前の由来は、朝いちばんの太陽が持つ力強さのイメージから。
東海道・山陽新幹線と同様、「光系」「音系」の名前を付けたいという意向があったようだ。
列車名は公募されたが、じつは「あさひ」は18位だったという。
1位は「とき」だったが、2位以下は選考委員からことごとく反対意見が出た。
ランク外の「つばめ」も検討されたものの、新潟県につばめは飛来しないとわかって取りやめとなったという。
「あさひ」の”受難”の始まりは15年後。
1997年の長野新幹線(北陸新幹線)の開業で、「あさま」が走り始めてからだ。
「あさま」はもともと在来線の長野行の特急列車で、そのまま新幹線列車に格上げとなった。
これは自然の流れだ。
ところが、東京~高崎間の駅の新幹線ホームに「あさひ」「あさま」が停車するようになると、乗り間違える利用者が増えてしまった。
誤乗対策のひとつとして、たとえば発車案内のLED表示の色を変え、「あさひ」は赤色、「あさま」は黄色とするなどの工夫も行われた。
それでも乗り間違える客が後を絶たず、2002年に「あさひ」の名称は消滅し、「とき」となった。
「あさひ」「あさま」のような乗り間違いは、「はやぶさ」「はやて」では起きていないのだろうか? どちらも上から2文字まで同じで、「はやぶさ」の愛称が決まったときは心配する声もあったようだ。しかし、いまのところ苦情が多いという報道はあまり聞かない。
「はやぶさ」は4文字、「はやて」は3文字で間違えにくいから? それとも全車指定席のため、乗客がきっぷをよく確認するからだろうか?「あさひ」「あさま」の場合は、行先が新潟と長野で別方向だった。
列車名に続く番号が違っても、自由席に飛び乗る客は数字まで気にしなかったかもしれない。
乗り間違えて高崎を過ぎれば、長野に行くつもりが新潟方面、新潟に行くつもりが長野方面になってしまう。
一方、「はやぶさ」「はやて」はどちらも東北方面へ向かう列車だ。
全車指定席だから発車前に気づく場合も多いし、万が一乗り間違えたとしても、停車駅や特急料金に多少差がある程度。
こちらが心配するほど乗り間違いは起きにくいし、間違えたとしてもクレームを入れるほど困らないから……、ということなのかもしれない。
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