中国では、3月に開催された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)における政府活動報告のなかで、2012年度の主要任務の筆頭に「経済の安定かつ比較的速い発展の促進」を掲げ、そのけん引役として、消費需要の拡大に重点を置くことを明らかにしました。
振り返ると、中国経済は、2002年から2011年までの10年間、年平均10.6%の高い経済成長を続け、1人当たりの名目GDPは1,132米ドルから5,414米ドルへ、約4.8倍になりました(数字はIMF発表のデータに基づく)。
しかしながら、これまでのインフラ投資や輸出を原動力とした成長は、同時に、エネルギーの浪費や生産過剰といったマイナスの側面を生じさせてきたことから、近年では、持続可能な成長の実現に向けて、個人消費をけん引役とした成長モデルへの転換の重要性が意識されてきました。
昨年発表された「第12次5ヵ年計画(2011年~2015年)」や今年の全人代において、消費需要の拡大が成長に向けた重点項目として明らかにされたことは、持続可能な成長の実現に向けて、中国がしっかりと歩みだしたことを示していると考えられます。
今や世界第2位の経済規模を誇り、世界経済の成長のけん引役として期待されている中国経済の今後の動向は、市場の大きな関心事となっています。