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日本全国鉄道名所探訪 (1) 紀州鉄道西御坊駅 - 「まるで時が止まったかのような」終着駅

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日本全国鉄道名所探訪 (1) 紀州鉄道西御坊駅 - 「まるで時が止まったかのような」終着駅
鉄道ファンでなくても、列車での旅に魅力を感じる人は多いでしょう。

国内だけを見ても、美しい木造駅舎の駅、秘境の無人駅、風光明媚な景観が楽しめる鉄道撮影地など、数多くの名所があります。

当連載では駅や鉄道撮影地をはじめ、旅の目的地にもなりうる鉄道名所を紹介します。

今回紹介するのは紀州鉄道の西御坊駅。

紀勢本線(きのくに線)御坊駅から延びる2.7kmのローカル私鉄の終着駅です。

写真を見てぜひ一度行きたいと思い、数年前に訪問しました。

西御坊駅の駅舎は昭和の雰囲気を残す古い民家風の建物で、屋根が波打っていました。

ホームも短く、終着駅といっても線路は1本しかありません。


写真で見るだけでも強いインパクトを与える駅ですが、実際に見たときの衝撃はそれ以上。

レトロなものに対して使われる「まるで時が止まったかのような……」の表現が、これほどぴたりと当てはまる駅があっただろうか。

そんな印象でした。

紀州鉄道の前身、御坊臨港鉄道が設立されたのは1928(昭和3)年だそう。

その後、御坊駅から市街地を経て日高川河口付近まで線路が敷設され、以来、市民の足として長く活躍を続けています。

1989年、西御坊~日高川間が廃止されましたが、それから長い時間が経過したいまも、西御坊駅から先の線路の大部分が残されたまま。

ただし、西御坊駅に設置された車止めと木製の柵によって、いまではそこを列車が行き来することはありません。

すっかり街の風景に溶け込んだ紀州鉄道の線路跡を眺めながら、かつての終点・日高川駅の跡地まで歩きたいと思ったものの、旅行日程の都合もあり、行けませんでした。


もうひとつ、このときの訪問で悔やまれるのが、レトロな2枚窓の気動車キハ603を見られなかったこと。

当時はまだキハ604(予備車)とともに健在で、土休日を中心にキハ603が運転されると聞いていたのですが、訪問当日は北条鉄道から譲り受けたレールバス、キテツ1が使用されていました。

結局、再訪の機会を得られないままキハ603は引退し、現在はキテツ1・キテツ2による運転に。

ただし、キハ603は現在も保存されているとのこと。

ときどき車両公開も行われるみたいなので、機会があれば日高川駅跡地とともに訪ねてみたいところです。レトロな車両は引退したものの、「まるで時が止まったかのような」西御坊駅はいまも変わらない様子。

ローカル私鉄といっても、おもに市街地を走るため、車体を揺らし、家々の間を走る列車の姿も魅力的です。

古き良き時代を感じさせる紀州鉄道、乗ってみるだけの価値はあると思います。


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