高速バス衝突事故から、ツアーバスの安全への取り組みを考える (1) 高速ツアーバスについて
この事故の報道で、改めて高速ツアーバスの安全性、労務環境が問題となっている。
ツアーバスの安全管理はどのように行われているのだろうか。
高速ツアーバスとは、企画旅行商品の形態をとった貸切バスツアーである。
そのルーツはスキーバスやディズニーランドツアーと言われており、旅行会社がツアー参加者を募集し、貸切バスを仕立てて運行した。
2000年以降に貸し切りバス事業が免許制から許可制へ緩和されると、都市を目的地とする貸切バス旅行が大幅に増えた。
目的地が都市であるため、従来の都市間高速路線バスとほぼ同じルート、時間帯となった。
高速路線バスは路線の届出申請が必要で、運賃も30日前に届け出なくてはいけない。
また、公共交通という前提のため定期運行が原則で、乗客が少なくても運行する必要があり、停留所の設置義務もある。
これに対し、高速ツアーバスは単発の募集型旅行という形態をとっているため、路線の届け出は不要、運賃も自在に設定できる。
ただし、団体貸切バスのため、路線バス向けに作られた停留所には乗り入れできない。
したがって路上や民間駐車場などを集合場所としている。
ツアーバスは路線バスに比べると路線設定や価格の自由度が高く、低価格を設定できる。
例えば、関越道で事故を起こしたツアーの場合、石川発東京ディズニーリゾート行きのバスで、料金(旅行代金)は3,500円から。
バスの定員は2+2席×11列で45名(最後部5列)。
補助席を使えば55名の参加が可能だった。
これに対して高速路線バスは3列シートタイプで38名、運賃は7,340円で倍以上の価格(JRバス利用割引無しのケース・石川県 - 東京)。
低価格タイプの4列シートタイプでも5,000円で、ほぼ1.5倍となる。
ツアーバスの利用者の増加と合わせて、ツアーバスを実施する会社は急増している。
2008年10月に結成された業界団体「高速ツアーバス連絡協議会」によると、加盟会社は89社で、内訳は企画実施会社が38、運行会社が38、その他(販売ポータルサイト運営・現地受付業務など)13となっている。4月29日に事故を起こしたバスについては、募集会社は同協議会に加盟していた。
しかし、運行会社は非加盟だった。
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