銀行トリビア (6) 誰もが名前は知っている「日本銀行」、その”意外”な役割とは?
でも残念ながら、個人が日銀に口座を作ることはできません。
ふつうとは違う、特別な銀行だからです。
ご存知のとおり、日銀は「日銀券」、つまりお札を発行できる日本で唯一の銀行です。
それだけでなく、その成り立ちや業務の内容などは、一般の銀行とはまったく違います。
日銀は、「日本銀行法(日銀法)」という法律で認められた法人で、政府の機関ではありません。
したがって、日銀の職員も公務員ではないのですが、公共性の高い仕事をしているため、”みなし公務員”として公務員と同じように収賄罪などが適用されます。
日銀は株式会社でもありませんが、株式会社の株に当たる出資証券というものを発行しています。
このうち、55%は国が保有することになっていますが、残りはジャスダック市場に上場されていて、一般の個人投資家も買うことができます。
ただ、株主総会はなく、配当金の上限も法律で決められています。
また、出資証券はふつうの上場株式のようにペーパーレス化されておらず、保管振替も利用できません。
「日銀」という名前は誰でも知っているわりに、何をしているかは意外に知られていないのではないでしょうか。
大きな役割は3つあります。
「銀行券の発行」「物価の安定」、そして「金融システムの安定」です。
銀行券の発行はわかりやすいけれど、「物価の安定」は、ちょっとピンとこないかもしれませんね。
物価はお金の価値と直結しています。
物価が上がるとお金の価値は下がってしまうからです。
また、モノの値段が安定していないと、お金の価値も安定しないし、そうなるとお金に対する信頼も失われてしまいます。
そこで、日銀は短期金利を操作するなどして、流通するお金の量をコントロールすることで、物価を安定させます。
短期金利などの金融政策の方針を決めるのが、「金融政策決定会合」。
日銀の総裁1名、副総裁2名、審議委員6名の計9人による会議で、月1回または2回開催されます。
日銀は、銀行のための銀行でもあります。
各銀行は日銀に口座をもっていて、日銀ネットというコンピュータネットワークを使ってお金のやりとりを行っています。また、どこかの銀行で一時的に資金が不足して他の銀行への支払いが滞ったりすると、連鎖的な資金不足が起こってお金のスムーズな流れがそこなわれます。
そこで、日銀は銀行へお金を貸して、お金の流れを守ります。
これが、「金融システムの安定」という、3つめの役割です。
このほか、国債の発行や受け渡し、利子の支払いに関する業務
国のお金である国庫金に関する業務
外国為替に関する業務
金融経済に関する統計の作成や調査や研究
など、幅広い業務を行っています。
ちなみに、日銀本店は東京・日本橋にあります。
予約をすれば無料で中を見学することができますよ。
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