先進国の求職者、4割以上が”1年以上”の長期失業者 - 「回復の兆し見られず」
国際労働機関(以下、ILO)はこのほど、世界の労働市場に関する最新報告書「World of work report 2012:Better jobs for a better economy(仕事の世界報告書2012年版)」を発表した。
同報告書では、全世界の失業者数は、2008年に起きたリーマン・ショックに端を発した経済危機前の水準と比べて、依然として5,000万人余りの雇用が失われたままだと指摘。
「雇用情勢は世界的に警戒すべき状態にあり、近い将来回復する兆しが見られない」(ILO)と警告している。
その理由としては、先進国を中心とする多数の政府が優先事項を財政緊縮と労働市場改革の組み合わせに移していることや、先進国における求職者の意欲低下による技能の消失、ならびに小企業の資金調達不足による投資や雇用創出力の低下などを挙げている。
さらに、欧州における”もの”を中心とした改革のいくつかが雇用創出に失敗した上、雇用の安定性を低下させて不平等を悪化させたとし、「労働市場の規制緩和と財政緊縮の組み合わせは短期的な雇用展望の促進に結びつかない」としている。
ただし、雇用に優しい租税政策の組み合わせと公共投資や社会給付支出の増大が行われた場合は、先進国では来年にかけて200万人分近い雇用が創出されると分析している。