国際商品相場では、食用油の原料となる大豆や菜種、パームなどの価格が年初から上昇基調となっています。
こうしたなか、世界でも堅調な経済成長を続けるアジアにおいて、特有の農産物として知られるパーム油の存在感が高まっています。
パーム油とは、油ヤシの果実から得られる植物油で、シャンプーやリンス、石鹸、化粧品などの生活用品や、マーガリンなどの食材など、植物油の中でも多くの用途に利用できることや、比較的安価だったことなどから、植物油の中で最も消費されている原材料のひとつです。
近年では、経済成長を背景に、新興国の生活水準が向上したことや、大豆油や菜種油などと並んで、バイオディーゼル燃料としての利用が進められていることなどが、パーム油の需要拡大を支えています。
なお、パーム油は、主に赤道近くの熱帯地域で生育することから、インドネシアとマレーシアが二大生産国となっており、輸出では2ヵ国で約9割の世界シェアを占めています。
こうした農産物は、需要が加速するにつれて、プランテーション開発に伴なう森林伐採や生態系破壊による環境破壊などが問題視されることから、生産ペースには適度な速度が求められます。