奥様はコマガール (50) スーパー金持ちSくんの結婚
僕の中学・高校時代の同級生にSという男がいる。
Sの存在を初めて認識したのは、今から20年以上前の1980年代後半。
僕が大阪府下の某中学校に入学してすぐのころだ。
Sは入学当初から学年で一番目立っていた。
その存在感を一言で表すなら、ずばり大金持ちの超ボンボンである。
なにしろSはまだケータイ電話が普及していなかった時代にもかかわらず、中学1年生にして超大型のケータイ電話を学校に持ってくるわ、これまた超大型のシステム手帳を学校に持ってくるわ、いったいどこのビジネスマンだと見紛うような重装備で校舎内を闊歩していた。
ちなみにSは小柄な男で、中学1年当時は身長140cm台前半だったと思う。
そんなチビッコが前述した重装備なのだ。
漫画である。
聞けばSの父は、大阪屈指の繁華街・ミナミを拠点とする不動産業で大成功をおさめた人物らしく、当時はバブル景気の真っ盛りだったこともあって、その羽振りの良さは常軌を逸していた。
Sの自宅は大阪ミナミの超一等地にあるビル一棟丸ごとであり、そのビルのワンフロアすべてがSの部屋。
月の小遣いの額を訊いたことはないが、間違いなく中1にしては異常なほど高額だったはずだ。