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”人材のグローバル化”という視点から見る、世界経済の現状と未来とは?

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”人材のグローバル化”という視点から見る、世界経済の現状と未来とは?
日興アセットマネジメントはこのほど、同社が運営する投資ゲーム「世界の投信王」に関連し、学生のための講演会『グローバル人材になろう!』を開催した。

同講演会では、”グローバル人材”になるためにはどのような資質・行動が必要であるかという視点から、グローバル化が進む世界経済の流れについて説明がなされた。

講演会はパネルディスカッション形式で行われ、モデレーターとして、「タダコピ」を運営するオーシャナイズの小林直樹氏、パネリストとして、日興アセットマネジメントの妹尾園子氏と野村学氏が参加した。

冒頭では、小林氏が、「グローバル化」について説明した。

小林氏は、自身が大学を卒業した1996年が、デフレ、大震災直後、就職氷河期などの点において、「今の環境にそっくりだ」と指摘。

そのころのキーワードの一つに「産業空洞化」があるとし、バブル後の不況でデフレ化し、消費者物価が下がるのと同時に流通支配力が上がる中、コスト削減のため、「製造拠点のグローバル化」が起きたと説明した。

その後に起こったのが、「市場のグローバル化」と「金融のグローバル化」。

市場がグローバル化された世界では、原料の調達や生産、加工を世界中で最適化して生産活動を行い、それを発達したサプライチェーン(物流)を活用して売ることになる。


こうした流れの中、日本企業でも多くの企業が「グローバル化」して、世界で活躍していると述べた。

また、金融もそれに応じてグローバル化し、資金調達も世界視野で行われるようになった。

小林氏によると、小林氏が学生の頃は、「グローバル化」ではなく、「国際化」という言葉が使われていた。

だが小林氏は、「国際化」の場合は、あくまで日本を中心に物事を考えていたのに対し、「グローバル化」は、”世界”という観点から物事を見ていくことだと分析し、「国際化」ではなく、「グローバル化」することの重要性を説いた。

また小林氏は、「グローバルスタンダード(世界基準)」についても言及。

冷戦終結後、すでに自国企業がグローバルに展開していた欧米が、世界の市場が一体化する中で、会計などの基準を統一して決めていこうというもので、日本もそれに巻き込まれざるをえなかったと話した。

同氏は、こうした「グローバル化」の進展に関し、日興アセットマネジメントの妹尾氏に、日本の企業のグローバル化の現状について質問した。妹尾氏は、現在の日本企業について、売上高の約半分を海外で売り上げていると説明。


しかも、大手電機メーカーなどの輸出関連企業だけでなく、世間的には内需型といわれる企業も海外売上高を伸ばし、「グローバル企業化」していると述べた。

例えばある醤油メーカーでは、55年前から海外展開をし、米国に早い時期から進出。

米国の家庭の半分の家庭には、醤油が置いてあるという。

妹尾氏によれば、そのメーカーは和食を持ち込むのではなく現地の食材にあった醤油の使い方を提案することで、現地に浸透していった。

妹尾氏は他にもゲーム機メーカーや調味料メーカーを挙げ、「多くの日本企業が、先を見て行動していることを知ってもらいたい」と話した。

また、社会に貢献している日本企業として、ある化学メーカーを挙げた。

同メーカーは、電子部品のフィルムやプラズマディスプレイをきれいに見せるための塗料など、高収益事業を世界規模で展開する一方、年間5億人が発症し100万人以上が命を落としている「マラリア」の感染を防ぐため、マラリアを媒介する蚊を防ぐ「蚊帳(かや)」を生産し、サハラ砂漠を中心にアフリカ諸国に提供していることを紹介。

ただし、無償では同社が生産するのを止めてしまうことを懸念し、世界銀行が有償で購入しているという。


さらに、ある化学繊維メーカーでは、水をきれいにしたり、海水を淡水に変えるための膜(フィルター)を、水不足に悩む国に提供していることも示し、日本企業が海外で稼ぐだけでなく、社会貢献している実例を具体的に説明した。

妹尾氏は、前述の醤油メーカーの人から、知識やノウハウ、技術などは全て日本国内にあると聞いたとし、「皆さんはすでにグローバル化の中にいる」と話した。

次に、日興アセットマネジメントの野村氏は、自らの人生の「幸せの曲線」について説明。

同氏はもともと、資金運用をやりたかったので同社に就職、これまで転職をせずに同社一筋で勤務してきた。

20代のころは、主なマーケットが日本国内で、顧客も運用も日本国内であり、好きな仕事をできて「幸せ曲線」は右肩上がりが続いた。

だが、30代になり、「エンロン・ショック」などの金融危機で社員が多く辞め、外国の方が社長になるなど、社内で”グローバル化”が進展した。

この時点で、野村氏の「幸せ曲線」は下降をたどり始めたという。野村氏は、講演会に参加している学生に、「なぜだと思う?」と問いかけた。


学生の一人から「言語」との答えがあったが、同氏は「言語ではなかった」と述べ、「一番大変だったのは、『コミュニケーションの方法』だった」と説明した。

同氏によると、ずっと同じ会社で働いてきた仲間同士であれば暗黙の了解で済むものが、バックグラウンドの違う相手と仕事をする場合、「これはいつまでに、ここまでやるということでいいですよね?」などときちんと相手に合意を得ながら進めていく必要があり、ここが大切だと強調。

この「お伝え力」が、グローバル人材になるためのスキルであると述べた。

この「お伝え力」を身に付けることで、野村氏の「幸せ曲線」は再び急上昇。

現在に至っているという。

これについて小林氏も、「グローバル化と言う以前に、人に対するときに相手の立場をいかに気遣うかなどの『地頭のよさ』が必要」と賛同。

いろんな国の人々のバックボーンを知った上でコミュニケーションを行っていく能力が必須になると話した。

野村氏は今度は、「グローバル化に成功している企業は、なぜ成功しているか?」とのテーマを提示し、インドにおける冷蔵庫の話をした。


インドの冷蔵庫には、暑さでだめにならないように、化粧品や医薬品を入れるボックスがあったり、盗難を防ぐための鍵があることなどを紹介。

日本の冷蔵庫などにはないこうした冷蔵庫の特徴の必要性を、同国の冷蔵庫市場で高いシェアを占める韓国企業がどのようにつかんだかについて、野村氏は、「その国や地域に行って、現地に”潜る”ことでしか分からない」と説明。

自らを「グローバル化」するためには、TOEICの点数を上げたりすることもいいけれども、日本と他の国の違いを知るために現地に行くことも大切だと述べた。

小林氏はこれについて、「これこそが現地のマーケティングである」と強調。

どんな会社に入ろうが、どんなビジネスをしようが、「生活者」のことを知り、その課題を解決するための商品やサービスを提供することが必要であると訴えた。

さらに、日本の企業は、前述の醤油メーカーのように昔は現地に潜って「現地化=生活者のマーケティング」を実践していたのが、最近は海外に行っても「駐在員」という形で、いずれは日本に戻ってくることを前提にした「縦の組織体質」になっているのではないかと問題提起。真の「グローバル化」のためには、現地組織にどんどん意思決定の権限を移していくべきではないかと話した。

さらに妹尾氏は、グローバル化している世界経済の現状と今後の方向性について説明。


世界の名目DGPは、2000年に32兆米ドルだったのに対し、2016年には91兆ドルと、約3倍になることが見込まれている。

特に新興国の勢いがすごくて、人口も増え、どんどん豊かになっていると話した。

その中でも中国の勢いが突出しており、2010年に5.9兆ドルだった名目GDPは、2016年には12兆ドルとなることが見込まれ、2010年時点での中国が、2016年にもう一つの中国ができることと同じであると説明した。

妹尾氏は、こうした状況について、「今や日本だけでなく世界を見ないとどうにもならない時代になっている」とした上で、「これだけ経済規模が拡大するということは、どの国の企業にとっても”収益獲得のチャンス”があるということ」と強調した。

野村氏は、金融商品についても、こうした世界経済の流れを受けて、以前と比べてどんどん投資先が変わっていると説明。

「これから先を考えると、日本以外の国のことを考慮していかなければいけない時代になっている」と述べた。

一方、妹尾氏は「グローバル化」の弊害についても言及。

資金・ノウハウ・物(資源など)がある国は発展していっているが、新興国の中には、そうした要素がない国もあると指摘。


「頑張れる国」と「取り残される国」があり、取り残される国をどのように救っていくかについても、学生を含む多くの人が考えていかなければいけない課題であると話した。

講演会の後は、「グローバル人材の定義」や、「グローバル化のイメージと現実のギャップ」などについて、三氏と学生の間で活発な質疑応答が行われた。

その後、日興アセットマネジメントが提供している投資体感ゲーム「世界の投信王」についての説明があった。

「世界の投信王」は遊びながら「グローバル」な経済感覚を身につけられるオンライン投資体感ゲームであるが、これまで数多くの学生が参加してきているという。

今年は日中国交正常化40周年ということで、新たに日本と中国の学生がチームで参加する「日中学生団体対抗戦」が2012年7月から開催される。

世界の投信王「日中学生団体対抗戦」は、3人一組で構成される日本と中国の学生チームが、日中学生No.1の座を賭けて戦うもの。参加チームは7月2日から8月31日の2カ月間、仮想の10億円/1億人民元を使って、世界35カ国の株式と連動する架空のインデックスファンドに投資し、その運用成績や分析能力、報告能力を競い合う。

全参加チームの中から審査で日中各3組(計6組)の代表チームを選出し、9月27日に日本と中国で同時開催する決勝戦で、日興アセットマネジメントグループの、日中のプロフェッショナルの厳しい審査のもと、日中学生No.1のチームを決定する。

決勝戦は日本側の会場となる日興アセットの東京オフィスと中国側の会場となる香港オフィスをテレビ会議システムでつなぎ、日中双方で同時審査することになっている。

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