期待されるオフィスの需給の改善~J-REITの空室率は既に改善傾向に
オフィス仲介大手の三鬼商事が7月5日に発表した6月末の東京都心5区のオフィス空室率は、前月末比0.03ポイント上昇し、9.43%と、5月に続いて過去最高を更新しました。
一方、オフィスビルの募集賃料は2ヵ月連続の小幅上昇となりました。
東京都心では、2012年前半に、大規模なオフィスビルが相次いで完成していることから、大量供給に伴なう需給関係の悪化が懸念されています。
今回の空室率の悪化は、完成した新築ビルにテナントが移転したことに伴なって、既存ビルの空室が増加したことが要因となっており、オフィスの大量供給の影響が顕在化したものとみられます。
しかしながら、最近竣工した新築ビルはほぼ満室となっていることや、全体の募集賃料が小幅に上昇していることは、オフィス需要は底堅いことを示していると考えられます。
また、7月以降については、新築オフィスビルの供給圧力は減少する見通し(注)です。
加えて、国内景気が回復傾向にある中、雇用環境の緩やかな改善が続いていることから、オフィスの需給バランスは徐々に改善していくものとみられます。
こうした中、J-REITが保有するオフィスビルの空室率は、2011年1月を境に改善傾向にあります。