ユーロ圏首脳は6月29日、欧州の金融安全網となるESM(欧州安定メカニズム)が、2013年から各国政府を経由せずに域内銀行に直接、資本を注入できるようにすることや、ECB(欧州中央銀行)の関与の下、域内の銀行監督を一元化することなどの市場安定化策で合意しました。
対策の詳細までが今回まとまった訳ではありませんが、7月2日の世界の株式相場が上昇するなど、金融市場の反応からは欧州の債務・金融不安に関してはひとまず緊張が和らいだものとみられます。
ただし、欧州債務問題は引き続き市場の大きな関心事であり、その懸念を後退させていくためには、対策の進展もさることながら、欧州経済の改善が不可欠です。
ECBは6月の理事会で、「経済見通しの下振れリスクが高まっている」としたものの、「2012年を通じて欧州経済は徐々に上向く」との見通しを維持しました。
しかし、6月の製造業景気指数や景気信頼感指数が低下するなど、「下振れリスク」が現実のものとなりつつあることから、5日に開催される理事会で、景気を下支えるために利下げが行なわれるとの見方が拡がっています。
これに加え、追加的な流動性供給策が行なわれるようであれば、投資家心理は大きく改善するものとみられます。