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食品の安全は? 放射能の影響は? 福島の「今」を体験しよう

マイナビニュース
食品の安全は? 放射能の影響は? 福島の「今」を体験しよう
6月29日、福島県農林水産部主催の「第2回今の福島を見に行くモニターツアー」が開催された。

これは、現在も原発事故の影響が長引く中、福島の「今」や放射能への取り組みを伝えるとともに、参加者の率直な意見を聞くことで今後の県農林水産業、観光の再生に向けた参考にしたいというもの。

参加費用は無料。

当日はネットやチラシを見て応募した24名が参加し、さくらんぼの観光農園や福島市内にある放射能のモニタリングなどを巡った。

忘れもしない、2011年3月11日の未曾有の大地震、そして福島第一原子力発電所の事故。

これに大打撃を被った福島の農産業と観光はいまだ、実害と風評被害の双方にさいなまれている。

放射線量が基準値以下の地域さえも訪問を敬遠され、安全が確かめられたはずの農作物さえ売り上げが激減。

その状況はいまも続いているという。


一方で「心配する他県の人の気持ちもわかる。

無理をして来てほしい、食べてほしいとは私たちには言えない」という地元の人も多いようだ。

そこで同県では、県産農産物や関連した観光に関する情報を発信する「ふくしま新発売。

」プロジェクトを立ち上げた。

農林水産物モニタリング検査結果などの情報を逐一公開し、理解を求めるなどの活動を行なっている。

今回のモニターツアーは、そのPRの一環として行われた。

観光スポットを楽しみながら巡る中で、行政の取り組みと、各施設それぞれの民間の取り組みを知ってもらうのが狙いだ。

東京駅前を出発したバスは途中、那須、安達太良山など、北関東から福島へかけての美しい眺めを堪能しながら東北道を一路、福島市へ。


最初に訪れたのは観光農園の「みちのく観光果樹園」。

フルーツ王国福島では、6月はさくらんぼの最盛期ということで、さくらんぼ狩りを楽しむことからツアーはスタートした。

出迎えてくれたのは、福島市観光農園協会会長でもある同園の片平新一氏。

まずは福島市の農家による、震災後の取り組みについての説明が行われた。

「皆さんも福島の農産物に不安を持っていらっしゃると思いますし、私たちも厳しい状況が続く中、楽観視はしておりません。

当果樹園では、樹木はすべて高圧洗浄で除染をしました。もちろん、放射能のチェックは欠かせません。

時間はかかりますが元の福島に戻したい」と片平さん。


観光客が減り、デパートなどへの出荷もままならない状況が続いているが、それでも丹念に育てられた果実は変わらずに、美しくたわわに実った。

今年は”成り”は少ないが、大粒で糖度の高いさくらんぼが育ったとのこと。

食べてみると、プチっとした歯ごたえの後、甘みを含んだ水分が口いっぱいに広がり、参加者も笑顔に。

おみやげとして、さくらんぼ1パックが振る舞われた。

さくらんぼのシーズンが終わると、今度は桃が甘い香りを漂わす。

次に一行は昼食をとるために、福島市の南西部に位置する約8ヘクタールの農村公園「四季の里」の中にある「憩いの館いなか亭」へ。

食材の多くを地元産にこだわった人気の食事所だ。

厳密にチェックされた安全性がたしかなものだけを仕入れなくてはいけないため、欲しい食材が入手困難な場合もあるという。


しかし同店では、最大限の努力により、風味のよい手打ちそばなどを提供している。

この日は、手打ちそば、天ぷら、ナスの素揚げ小鉢、漬物、豆腐と大葉の小鉢、炊き込みご飯、果物がセットになった「いなか亭もりそばセット」が提供された。

そばはツルッとのどごしがよく、豆腐はしょうゆをかけずともいただけるほどに味わい深い。

ナスの素揚げにかかったゆずみそがさらに食欲を誘った。

食後はしばし、緑の芝生広がる園内でゆったり。

施設内にある放射線のモニタリングポストも見ることができた。

そしてバスは「吾妻の駅ここら」にあるJAの放射能検査施設「庭塚モニタリングセンター」に移動。

ここでは県の放射能への取り組みや、ホームページで随時行われている情報公開について、きめ細やかな説明を受けた。


今年の4月1日からは食品に関する放射性物質の新たな基準値が施工され、一般食品は1kgあたり100Bqという、より厳格な数値になったという。

説明を受けた後は検査室を訪れ、実際にモニタリングの機械を見学。

この機械は粉砕した野菜を入れて検査するというもので、福島市内には150~160台があり、農家より持ち込まれた野菜をチェックしているという。

参加者からは「検査の様子を実際に見ることで、いかに丁寧にチェックしているかわかって安心した」という声が多く挙がっていた。旅の最後は日ごろの疲れを癒やすべく、吾妻山に抱かれた東北を代表する名湯、高湯温泉の共同浴場「あったか湯」の露天風呂へ。

ここも災害時にはわきだす湯に砂がまじるなどの直接的な被害にあうとともに、避難する人の立ち寄り所としても活用されたという。

その後、観光客が激減するなどの風評被害にもあったが、常にホームページで放射線量を伝え、理解を求めるなどの努力を続けている。

源泉かけ流しの白濁の湯は、汗が次々と噴き出すほどに身体をたっぷりと温め、肌にしっとりとなじむ。


「身体の芯からデトックスされそうでしょ」と、湯船で出会った地元のご婦人。

おかげで帰りのバスではほとんどの参加者が、心地よくぐっすりと熟睡することとなった。

「最初はサクランボ狩りにひかれて参加しましたが、福島の方たちが他県の人たちの気持ちを考えながら放射能のことに心を砕き、行動してらっしゃることを知りました。

震災から時間がたつと痛みについて忘れてしまいがちですが、これからも福島を応援したいと思いました」と、東京から参加した女性グループ。

別の東京から参加した女性は、「ニュースで聞くたびに、福島はどうなってしまうんだろうと心配していました。

でも実際に検査場のパソコンのモニターを見たり、地元の方の福島を復興したいという情熱に触れたら、安心もしたし、未来に希望が持てると感じました。

この感じは訪れないとわからないかも」と感想を語ってくれた。

また「福島は行政、民間ともにさまざまな放射能に関するデータの公開を行っていることを知ってよかったです。


放射能のことをわからないまま怖がるよりも、自分で客観的なデータを確かめて判断するのが一番いいかな」という声も。

訪れてみてこそわかった、福島による食の安全への取り組み。

今後もこのツアーのような、同県のPR活動が期待される。

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