『世界の投信王』の「春の陣」チャンピオンが決定、「格付」に注目すると…
「世界の投信王」は、世界35の国や地域の株式市場に連動する架空のインデックスファンドを投資対象とした運用体感ゲーム。
現在は、日本、中国、米国から12,000人を超える参加者がトップの座をめざして運用成果を競っている。
4月にスタートした四半期レース「春の陣」において、厳しい投資環境の中、レースを制したのは、ハンドルネーム「misia」さんだった。
2位以下を1%以上引き離して、”投信王”に輝いた。
しかし、レース期間中は欧州の政府債務問題が顕在化したことで投資家のリスク回避姿勢が高まった時期だったため、3カ月間のパフォーマンスは-3.46%とマイナスの水準にとどまった。
日興アセットマネジメントによると、「世界の投信王」で国や地域を選ぶときに注目する要素は無限にあるという。
例えば、「GDP」「企業業績」「金利」といった経済指標が一般的だが、「人口」や「イベント(オリンピック、ワールドカップ、大統領選など)」といった要素もよく注目される。
「世界の投信王」では、株価に影響を与えたものとして、「為替」「資源」「天災(洪水など)」「政局」「投資家心理」などを取り上げてきたが、今回は「格付」に注目した分析結果を以下のように公表した。
「格付」とは、債券の発行体が元利金を将来きちんと返済できるかどうかという信用力を記号化したもの。
最も信用力の高い格付は、「AAA(トリプルエー)」で、信用力が下がるにつれ「AA(ダブルエー)」、「A(シングルエー)」、…、「B」、…、「C」と表記される。
格付は債券の投資判断をするときに重視される指標だが、株式の投資判断にはあまり関係がなさそうにみえる。
だが同社では、政府債務問題が投資家を消極的にしたという現象もあったため、格付と株価の関係をチェックしてみた。
四半期レース「春の陣」が競われた4-6月に、「世界の投信王」の投資対象のうち、格付が変更された国が3つあった。
まずスペインだが、4月26日にS&P社が「A」から「BBB+」に引き下げ、6月13日にムーディーズ社が「A3」から「Baa3」に引き下げた。【図表1】はスペインの格付と株価の推移となっている。
日本は、5月22日にフィッチ社が「AA-」から「A+」に引き下げた。
【図表2】は日本の格付と株価の推移。
「ここまで見ると、格付がその国の株価にも一定の影響を与えている、と言えなくもなさそうです」(日興アセットマネジメント)。
また、6月20日に、今度はムーディーズ社がトルコの格付を「Ba2」から「Ba1」へ”引き上げ”た。
トルコは2001年の経済危機を機に構造改革を進め、2008年以降、世界的に金融環境が悪化する中でも相対的に高い経済成長を維持したことなどから、国際的な信頼度が高まっている。
ムーディーズ社は、今回の”格上げ”の理由として、「財政の改善に向けたトルコ政府の取り組みを評価したようです」(日興アセットマネジメント)。
6月末までのトルコの株価は【図表3】のとおりだが、今回の格上げが評価され、さらに信用力の向上が期待できるとなれば、今後注目度が高まる可能性がある。
「『世界の投信王』の投資対象としても十分に検討する必要がありそうです」(同社)。
ちなみに、「misia」さんらランキング上位者の多くはトルコへ投資している。
『世界の投信王』は、これからも四半期ごとに参加者を募集する。
次のレースは10月にスタートする「秋の陣」で、参加締め切りは9月27日の15時。
「より多くの方に世界の頂点をめざしてご参戦いただきたいと思います」(同社)。
(※ 文中にある格付は、自国通貨建ての長期債務に対して、ムーディーズ社、S&P社、フィッチ社が付与したもの)(※ 【図表1】~【図表3】の株価は、『世界の投信王』の投資対象である架空のインデックスファンドの基準価額)(※ データは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではない)【拡大画像を含む完全版はこちら】