奥様はコマガール (60) 犬馬鹿の境界線と夫婦間のズレ
今から数年前、当時まだ独身だった僕はある女性と付き合うことになった。
その女性は白いポメラニアン(オス)を飼っており、だから当然その犬も僕にとって愛すべき存在となった。
それが現在の妻・チーと愛犬のポンポン丸くん(以下、ポンポン)である。
付き合い始めたころ、チーはポンポンについてこんなことを言っていた。
「私、極端な犬馬鹿にはなりたくないの。
いくら犬がかわいいからって、犬を人間と同じように扱うのは馬鹿っぽいよね。
犬はあくまで犬としてかわいがらないと」。
僕もその意見には賛成だった。
犬は犬、人間ではない。
当たり前のことである。
かつての日本では、犬はペットというより番犬という扱いであり、それがいつしか愛玩を目的とするペットとなり、現在はそこからまた変化して、「犬も家族の一員」という考えが定着。
そういった認識の変化は、大家族時代から核家族時代への移行、さらに独身者の増加といった日本人の生活様式に則した自然な結果であり、否定されるべきではない。
現代日本人が、犬にライフパートナーとしての価値を求めるようになったのである。
しかし、だからといって巷の愛犬家の中には、僕が思わず眉をひそめたくなる人も多数いる。