読む鉄道、観る鉄道 (17) 『駅 STATION』 - 北海道・留萠本線がにぎわった頃、高倉健が残したドラマ
高倉健が6年ぶりに主演した映画『あなたへ』が公開中だ。
高倉健主演、 降旗康男監督といえば『鉄道員』が有名だけど、今年はオリンピックイヤーだから、元オリンピック選手の生きざまを描く『駅 STATION』(1981年・東宝)をおすすめしたい。
主人公のプロフィールと生き方を淡々と描き、ラストに起きる出来事で強いメッセージを残す。
そんな構成も『あなたへ』によく似ている。
主人公の三上(高倉健)は北海道警の刑事であり、射撃のオリンピック選手でもある。
彼は正義感が強く、妻(いしだあゆみ)のたった一度の過ちを許せずに離婚した。
また、オリンピックよりも、犯人逮捕の現場を優先しようとする。
その矢先に警官射殺事件が起きる。
上司はオリンピックを優先しろと言うが、三上は仇(かたき)を討たせてほしいと懇願する……。
時は流れ、三上はオリンピック射撃チームのコーチとなっていた。
しかし選手たちと疎遠になりながら凶悪犯も追い続ける。
そんなとき、連続殺人容疑者の妹、吉松すず子(烏丸せつこ)の存在をつかみ、留萠本線増毛駅近くの食堂を張り込む。
三上は自分の妹(古手川祐子)の幸せを願っていた。