北海道では鳥がブーブー鳴く? 北海道の焼きとり事情
「焼きとり」とは串に刺した鶏の胸肉や内臓など焼いた食べ物……こんなことは常識中の常識だ。
ところが北海道の焼きとりは、なんと豚肉を使用しているというのだ。
それが本当だとすれば、まさしく常識を覆す重大な事実である。
これは確かめずにいられない。
豚肉を使っているにも関わらず堂々と焼き鶏を名乗っているのは、「室蘭焼きとり」である。
室蘭焼きとりを出す店は地元室蘭にはもちろんのこと、現在では北海道各地にあり、道内では室蘭の味としておなじみである。
ではなぜ、室蘭で“豚肉を使った焼きとり”という特殊なご当地グルメが定着していったのだろうか。
まずその歴史を探ってみた。
室蘭は製鉄の街として、明治から昭和にかけて多くの労働者が集まり大いに繁栄した。
しかし、昭和12年に日中戦争が勃発。
日本政府は食糧増産、軍用靴生産のための豚革確保を目的に、全国の農家に養豚を奨励した。
そして、豚の肉と皮以外は食べてもよいというお達しを出したという。
そこで市内の焼きとり店はこぞって豚の内臓(モツ)を仕入れ、メニューに取り入れた。
これには当時、鶏肉が高価でどの店もとても仕入れることができなかったという背景も関係している。