ポール神田の世界は英語でつながっている! (5) ネアンデルタール人からフェニキア人まで、人類は表現したい生き物である
■ネアンデルタール人の表現欲求フランス南西部のラスコー洞窟の壁画は、1万5,000年前(後期旧石器時代)にネアンデルタール人によって描かれた。
いや単に描いたというよりも壁の凹凸を利用しながら、3Dに見えるように巧みに塗料が塗られているのだ。
赤鉄鉱(ベンガラ)の良好な耐候性や耐久性を利用し、牛などの狩りの様子を克明に描いている。
さらに、雨水に耐えるよう洞窟(どうくつ)内の壁画で、焚き木をしながらも鑑賞できるように製作されている。
言葉も文字も持たないネアンデルタール人は、何のためにこんなに見事な壁画を残したのだろうか?画商もいなければ、オークション制度もない。
当然、お金という貨幣価値もなかった時代だ。
絵を描いて一体何の得になったのだろうか?それは、ただ、「描きたかったから」という単純な理由だったのかもしれない。
ビジネスモデルを常に考えて仕事をしている現代人とは志そのものが違っていたのだろう。
さらにネアンデルタール人は、発声器官が発達しておらず、音声や言葉ではコミュケーションができなかった。
しかし、洞窟で共同生活を営むためには、狩猟を主とした営みや、男女間での役割分担もあったはずだ。