「333」だけじゃない! ベトナム地ビール巡り
その面々を紹介しよう。
ベトナムには一体どのくらいのビールがあるのだろうか。
ヨーロッパやアメリカ、日本に比べ、地ビールやビールメーカーの数が少ない東南アジア。
しかしカールスバーグ(デンマーク)やハイネケン(オランダ)は東南アジアにも工場があるし、なにしろ暑いので地元の人だってビールが大好きだ。
親せき同士でもなんでも、男性が集まれば「1、2、3(モン、ハイ、バー)、ヨーォ!!(=乾杯)」と何度も何度も乾杯の掛け声をかけ、飲み狂う。
ビール競争があってしかるべきな土壌なのである。
そんなベトナムへビールを飲みに出掛けた。
ベトナム航空のビジネスクラスを利用して行ったのだが、ここでカートに鎮座していたのは「HALIDA」。
ベトナム航空といえば、国営の航空会社である。
以前はもっとも有名な「333」を積んでいたと記憶しているが、久しぶり(3年ぶり)に乗ってみたら、なんと新参者のHALIDAにギャレーを奪われていたのである。
いきなり有名どころではないビールにお目にかかるとは、まさかの幸運。
今回はホーチミンで乗り継ぎ、中部のダナンへ。
ここは白砂の美しいビーチリゾートとして知られているが、ベトナム中部の主要都市でもある。
ダナンのビールといえば、「Biere LARUE」だ。
虎のイラストが目印で、なんとなくシンガポールのタイガービールをほうふつとさせるが、フランス語風の名前はフランス統治下にあったベトナムならでは。
ダナンあたりでは、まだ「BIA SAIGON」も普通にメニューに載っている。
「サイゴン」とはご存じのとおり「ホーチミン市」の旧名。
つまり、こちらはホーチミンのビールということである。
緑色のボトル、そして「Special」の文字。
ちょっと高級感があると感じるが、LARUEと価格は同じである。
次に向かったのはダナンから3時間ほど北上したところにあるフエ。
こちらは旧市街の建造物が世界遺産に認定されている古都である。
向かう途中のハイヴァン峠の売店には、もうLARUEではなく「FUDA」ビールだけが売られていた。
このあたりからFUDAの陣地となっているらしい。
車窓に見える看板にもFUDAの文字が多く、レストランでもLARUEの姿は見えない。
そしてもう1つ、フエにおいてFUDAと人気を二分しているのが「FESTIVAL」ビール。
実はFUDAと同じ会社のビールだそうだが、FUDAに比べると看板の数は少ない。
また、FUDAビールは缶のみだが、FESTIVALはビンのみの展開で、どちらも「デンマークの製法で作られた」ことが売りである。
次はかなり北上して、フォンニャ鍾乳洞へ。
そのあたりのレストランでは地ビールは「BIA HANOI」のみの扱いだ。
名前からわかるとおり、ハノイのビールである。
全土にわたり、333はだいたいどの店でも取り扱っているし、タイガービールやハイネケンといった輸入ビールもメニューに載っていることが多い。
だが、地元の人にはやはり地ビールが人気だそう。
地ビールは値段が安いうえに輸入ビール(といってもベトナムに工場があるそうだが)と比べてサイズが大きいことも選ばれる理由のひとつかもしれない。
肝心の味だが、ベトナムのビールは総じてライトな味わい。
東南アジアではよくあることだが、ベトナムでもビールに氷を入れて飲むのが一般的。
そのせいで薄まることもあるが、しかしちょっと甘みの強いBiere LARUEやBIA HANOIは氷を入れたほうがおいしいと感じるし、のどごしがスムースになるような気もする。
FUDAやFESTIVALのようにフルーティな味わいのビールには氷は不要だが、汗をいっぱいかいた後にゴクゴク飲むならやはり氷入りがすっきりしていいかもしれない。
筆者が一番気に入ったのはBIA SAIGONで、こちらは麦の味がなかなかしっかり感じられる。
もっとも日本のビールに近いのではないだろうか。
よくベトナム料理についてくる揚げせんべいがビールにとてもよく合うのがうれしい。
その一杯のために、炎天下を歩き回りじゃんじゃん汗をかきたいものである。
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