2012年10月11日 11:43
北海道・十勝発、バナナなし「バナナ饅頭」は焼きたてを食うべし!
全国的に名高い製菓メーカーが多い北海道十勝地方に、100年以上にわたり人々愛され続けておる「バナナ饅頭(まんじゅう)」という銘菓がある。
シンプルな材料を使用した素朴な味は、昔から変わらずお土産として人気が高く、全国では模倣品も結構出回っているらしい。
誰にでも作れそうで作れない、歴史ある庶民のお菓子を紹介しよう。
バナナ饅頭は1905年あたりから、十勝の池田町という小さな町で売られ始めた。
開拓が進んでいた当時、釧路から伸びてきた鉄道が池田町まで開通し、駅が完成。
そして、この駅の利用客を相手に、地元で呉服などを扱っていた「米倉屋」が駅弁などの販売を始めた。
その商品のひとつとして売り出したのがバナナ饅頭だ。
商品名に採用しているバナナは入っておらず、小麦粉、砂糖、鶏卵、はちみつなどの原材料のほか、バナナの香料を使用している。
当時のバナナは庶民にとって高嶺の花。
大変ぜいたくな食べ物だった。
そういう時代に「せめてバナナのようなお菓子を提供したい」という思いでバナナ饅頭を売り出した米倉屋の愛情が伝わってくる。
池田町の隣町である浦幌(うらほろ)町出身の知人は、「たまに母に連れられて鉄道を利用する際、このバナナ饅頭を買ってもらうのが人生最大級の楽しみだった」