長期的な基調が「円安」に転換する可能性も見えてきた円相場
10月23日の東京外国為替市場で、円相場が約3ヵ月半ぶりに1米ドル=80円台をつけました。
国内景気の見通しの悪化などを受け、日本銀行が30日に開く金融政策決定会合で追加の金融緩和を行なうとの観測が強まる中、22日に発表された貿易統計で日本の貿易赤字が拡大したことや、格付会社大手が財政健全化が進まなければ日本国債の格下げに踏み切る可能性に言及したことなどが円売りにつながったとみられます。
円相場(対米ドル、以下同じ)が80円台に下落したことで、為替相場の長期的な基調をつかむ上で重要視される、「90週移動平均線」を、上回ることとなります。
移動平均線は一般に、価格の方向性や転換点、売買のタイミングなどを探る手掛かりに利用されますが、円相場が移動平均線を上回ることで、長期的な相場の基調が「円高」から「円安」に転換する可能性もあると注目されます。
過去の推移(下図)を見ると、円相場が移動平均線の下(上)にある局面では、移動平均線が円安を支える線(円安の動きを抑える線)として働いていることがわかります。
今年2月の時と同様に、本格的な円安局面に入ったかどうかを現段階で判断するのは時期尚早かもしれません。