イタリア料理のお店なのに名前が“タベルナ”!?シェフにこだわりを聞いてきた
おいしい料理とワインを楽しみ、人生を謳歌(おうか)する本場イタリアの雰囲気をそのままに、日夜、多くの客で賑わっている。
16年前の創業時からオーナーとともに店作りをしてきた総料理長、関村廣之さんに、この店で料理を提供するにあたってのこだわりを聞いてみた。
――関村さんがこの店のシェフになったきっかけを教えていただけますか。
「タベルナクアーレ」は、店舗のプロデュースやデザインを手掛けてきたオーナーの福地が、いずれ自分の店を持ちたいという夢を実現して、1996年にオープンした店です。
もともとオーナーは、私が以前勤めていたイタリア料理店の親方に協力を依頼したのですが、親方が、自分は協力できないが、うちの若い衆を出すからやってみろと言いまして、私が駆り出されることになりました。
オーナーの理想は、イタリア人が普段から食べている飾らない料理のおいしさを、仲間とワイワイ気楽に楽しめる店を出すこと。
今でこそ、イタリアンバールなど庶民的なスタイルの店が多くなりましたが、当時の日本には、イタリア料理店といえば、デートや接待などでかしこまって行くような店しかありませんでした。
もっと気軽に、イタリアの路地裏によくある居酒屋のような雰囲気の中で、本場の味を伝える店を作りたい、そんな思いで、店名にはトラットリアでもリストランテでもなく、大衆食堂、居酒屋という意味を持つ“タベルナ”とつけました。
――オーナーとは、創業当時から同じ思いを共有して来られたのですか。
いや、実はそうではないんです。
オーナーの思いを理解するまでにはかなり時間がかかりましたね。
私が以前いた店はローマ料理のリストランテで、イタリアで修行した親方の下でかっちりとした料理を出していましたから、余計な飾りなどいらない、シンプルな料理を出したいんだと言われても、最初は違和感がありました。
料理人として、自分の方がイタリア料理はわかっている、という自負もありましたし、当時は何度もけんかしましたよ。でも、しばらくすると、われわれ日本人がどうあがいたところで、子供のころからイタリア料理を食べてきたイタリア人にはなれないと感じるようになりました。
つまり、白いご飯とみそ汁で育った私が作った味を、イタリア料理です、といって出したところでうそになる。
そんなうそはお客さんには見透かされてしまうんだということがわかってきたのです。
そこから変わってきましたね。
私たちはイタリア料理を作るのではない、イタリアを伝えるのが仕事だ。
そう考えれば、うそにならず料理に向き合えます。
本場の味を伝えるシンプルな料理を、本場の作り方で、手を抜かずしっかり作り、おいしく食べていただきたい。
そんなオーナーの考え方がやっと理解できるようになりました。
今では、イタリア料理を作っている、と考えている従業員は一人もいません。
ようやく自分でも納得して、後輩たちにも同じ考え方を伝えられるようになりました。
――創業以来のリピーターも多いそうですね。
シンプルな料理ほど難しいと思うのですが、お客さまを納得させる味を守り続けるために、こだわっていることはありますか。
常に、イタリアの”今“を伝えたいと思っています。
そのために、必ず毎年、私を含め従業員もできるだけ現地へ行って、今のイタリアを感じてくるようにしています。
創業当時には全員で1週間イタリアに行ってきました。
目新しい情報を仕入れてくる、というよりも、今の文化、空気感、料理の味を確かめてくる、という方が近いですね。
定番のシンプルな料理を現地ではどう作っているか、今、店で出している味は確かに本場を伝えているか、確認してくるのです。
ただおいしい料理を作るだけなら簡単です。
いかに“おいしく食べていただける”か、そこにこだわりたいと思っています。
――チームワークがとてもよい雰囲気が伝わってくるのですが、従業員同士のコミュニケーションはどうされているのですか。
今年の5月から「GALAXY S II LTE」のスマートフォンを持つようになったのですが、LINEを使った従業員の連絡網がとても便利で使っています。
仕事の連絡、売り上げ報告に、たわいもないつぶやきまで、みんなとの情報共有が本当に速くなりました。
今では欠かせないツールですね。また、Facebookに投稿するのもラクです。
これまでならパソコンを立ち上げて、カメラで撮った写真データを取り込んで、と手間がかかっていたものを、スマートフォンなら、ベストタイミングで料理を撮影して、その場ですぐにアップできます。
スピード感がいいですね。
――スマートフォンを使い始めてから、ほかにも生活が変わった点などはありますか。
一番変わったのはスケジュール管理ですね。
オンもオフもこれでバッチリです。
姉妹店の勤務日にはリンゴマーク、江の島の店に行く日は魚マーク、子供たちのハンドボールの試合の送り迎えで車を出す日は車マークと、カレンダーにマークをつけて一目でわかるようにしています。
もう手帳は持っていませんね。
「イタリア料理を作るのではなく、イタリアを伝える」という謙虚な考え方。
その陰には、関村さんが料理に対し真摯(しんし)に向き合い続ける実直な姿勢がうかがえる。
16年前から変わらず、この店のペンネアラビアータを求めて通い続けている常連客がいるという。
オーナーとともに築き上げてきた“タベルナ”としての居心地のよさと、シンプルな定番料理で舌を魅了することのできる関村さんの実力の表れだといえよう。
そんな関村さんの思いを伝え始めた「GALAXY S II LTE」は、これからさらに、「タベルナクアーレ」の魅力アップに欠かせないコミュニケーションツールとなっていくに違いない。
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