1990年代などに起きた金融・通貨危機などを教訓に、多くの新興国は、堅実な財政運営や構造改革を押し進めるなど、経済の基盤を整えてきました。
その結果、安定的で堅調な経済成長が続く中、政府債務や対外債務の水準が大きく低下するなど財政や対外収支の健全化が進み、近年、多くの新興国で債務格付が改善しています。
新興国の格上げは、経済成長の伸びが高かった2000年代前半から半ばのみならず、リーマン・ショック後においても継続しています。
リーマン・ショック後の世界的な金融不安や景気後退に対応するため、各国は景気浮揚を狙った大規模な財政支出を行ないましたが、もともと多額の財政赤字を抱えていた主要先進国にとっては、これがさらなる重荷となりました。
その後の、欧州債務問題の顕在化などに伴ない、改めて国の財政や信用力が注目される中、主要先進国の格付の引き下げが目立つ状況となりました。
一方、多くの新興国では、比較的健全な財政状態に加え、景気の立ち直りが速かったことなどから、世界経済の混乱に対する耐性などが評価につながったとみられます。
なお、新興国の中には、ブラジルやロシアなど、2000年末時点では、格付が投機的(BB+以下)