新興国の企業は、自国の経済成長に伴なう資金需要の増加を受け、社債発行による資金調達を積極化させています。
そうした中、社債を発行する新興国企業の業種に着目すると、産業の多様化が進んでいることがわかります。
新興国社債の代表的な指数(※)の内訳をみると、2002年は通信と公益の2業種で全体のほぼ半分が占められていましたが、足元では、情報・通信に加え、石油・ガスや金属・鉱業の比率が拡大しています。
全体に占める金融の比率は高いものの、新興国の成長を根幹から支えると考えられる通信インフラやエネルギー、素材といった産業の社債発行が増加していることは、新興国がインフラ投資に力をいれていることを示しているとみられます。
また、投資適格債は金融や石油・ガスの割合が多く、消費関連や不動産が少ない一方、ハイ・イールド債は消費関連や不動産が多く、石油・ガスの割合が低くなっているなど、社債同士でも違いがみられています。
国の戦略的な産業ともいえるエネルギー産業は、国のサポートを受けやすいことなどが反映され格付が高い傾向にある一方、消費関連は、近年の中間所得層の拡大などを背景に、初めて社債を発行する企業が多いことから格付が低い傾向にあるといったケースが考えられます。