GHQに没収されかけた歴史も…「日本刀」、いくらで買える!?
映画監督のタランティーノ氏の例を出すまでもなく、色んなアクション映画で日本刀が登場します。
さて、この日本刀、一体いくらぐらいで買えるのでしょうか。
池袋で日本刀の販売を営んでいる『刀剣杉田』の代表取締役 杉田侑司さんにお話を伺いました。
――日本刀を入手するのは難しいのでしょうか。
いえ、ちっとも(笑)。
買って頂くだけですよ。
――なにか特別な許可証がいるとか、そういうことはないんでしょうか?誤解をされている方が多いかもしれませんが、そういうものはないですよ(笑)。
ただ、日本刀には必ず「登録証」が付いています。
――日本刀って全部登録されているんですか?はい。
1本1本が「教育委員会」に全て登録されています。
その刀を購入した人は、その登録されている名義を自分に書き換えてもらうんです。
この名義変更の作業は必要になります。
今誰がその刀を持っているかを明らかにしておかないといけないんです。
元々昭和26年度に始まった制度なんですよ。
――なぜそんな制度があるんでしょうか?第二次大戦後にGHQが武器の接収を始めたんですよ。
その中に日本刀も入っていて、そのままだと没収されて廃棄されてしまう。
なので、美術品として保存する仕組みを作るようにGHQに嘆願書を出して、それが認められたんですね。
危うく日本刀はすっかりこの世からなくなってしまうところだったんです。
――日本刀っていくらぐらいするものでしょうか。
もちろんピンキリですが、無銘(作者など不詳)のものでいいなら1振り10万円ぐらいからありますよ。
――ピンの方の価格はどのくらいなのでしょうか?歴史的な価値の高いものや、名工が作ったものは高価になります。
昔の名工の素晴らしい刀には億を超えるものもあります。
――現在の名工の刀はいかがでしょうか?例えば、私が現在の最高の刀鍛冶だと思っている大野義光さんという人がいますが、この人が作った刀は最高の値段がつきますよ。
――どのくらいの価格になるのでしょうか?やはり一振り500万円はするでしょう。
本当に美しい波紋を持つ刀で、日本中の愛刀家が大野さんの作品を褒めると思います。私は大野さんこそ人間国宝になるべき腕を持った人だと思ってます。
――大野さんは現代の作家さんですが、その作品は多くあるのでしょうか?いえ、現在はですね、一般的には1人の作家は「月に2振りしか日本刀を作ってはいけない」という決まりがあるんですよ。
しかし大野さんに限って言えば、1年に2、3振りしか作りません。
――そういう決まりがあるんですか。
それはなぜなんですか?やはり警察から見ると、美術品ではなく「武器」になるからでしょうね。
「武器をそんなに量産されても……」というところでしょうか。
刀匠は作った刀を届け出て、登録しないといけません。
――初心者向けに1本選ぶとすればどんなものが良いでしょうか。
10万円ぐらいから買えますが、あまり安い無銘のものですと、美しさにおいてもいけません。
うちの店にあるのですと、例えばこの『二王清貞』はどうでしょうね。
室町時代後期のもので、毛利元就公とほぼ同じ時代のものです。
往時に思いを至らせることができるのも素晴らしいですよ。
――いくらでしょうか?57万円です。
――手入れは難しいのでしょうか。
いえいえ。
さび止め用に薄く丁子油(ちょうじあぶら)を塗るだけですよ。
古い油をぬぐってから新しい油を塗るんです。
新しく油を塗ったら2年間は大丈夫です。
ただし、たまには鞘から出して、刀身を見てあげてほしいですね。
――日本刀の魅了とは何でしょうか?そうですねえ。
やはり「美しさ」でしょう。
日本人の美意識が結晶したような、美しい形をしていると思うんですよ。
武器なんですが芸術品です。
波紋など、何とも言えない美しさですね。
――海外でも日本刀のファンは多いと思うのですが……。
先日もオランダで『SAMURAI』という、日本刀、甲冑などの展示会が行われて、うちでもご協力したんですが。
1万5,000人も来場者があったんだそうです。
興味のある人が世界的にも多いんだと思います。
もっと日本人の若い方々にも日本刀の魅力を知ってほしいですね。
というわけで、日本刀の価格は本当にピンキリで、無銘の安いのであれば10万円ぐらいからあるとのこと。
所持すること自体は難しくないようです。(谷門太@dcp)『刀剣杉田』のサイト⇒http://www.token-net.com【拡大画像を含む完全版はこちら】