熊本県阿蘇カルデラの大自然で馬と語らい、阿蘇赤牛に舌鼓!
九州のド真ん中に約30キロのサークルがぽっかりと空いているように見える。
その姿は「阿蘇カルデラ」と呼ばれ、はるかな昔の大爆発が大地を吹き飛ばして作りあげたといわれている。
今回はそんな阿蘇の成り立ちを体感させてくれるような素晴らしいツアーを、九州の自然をこよなく愛するライター、清田進がご紹介しよう。
そのツアーは「阿蘇カルデラツアー」だ。
あそおんせんネット(阿蘇観光組合)が運営しており、27軒の旅館やペンションの宿泊者を対象に開催している。
このツアーは春夏秋冬で様々な野外ツアーを企画しているのだが、冬の季節の一押しは、「乙姫スターライト・トレッキング」である。
日没後の阿蘇の平原を、ゆったりと馬の背に揺られて進むこのツアーでは、エルパティオ牧場から出発する。
同牧場は、阿蘇平原のちょうど真ん中辺りにある。
「乗馬が初めてという人でも、牧場スタッフが横についているから安心ですよ」。
そう話すのは、牧場チーフの久田晃史さん。
あまり知られていないことだが、実は馬は夜目が利く。
暗闇の中でも、われわれ人間の数倍しっかり見えているらしい。
つまり、ヘンな心配はご無用。
あなたの足元はだいじょうぶ。
大自然の中、われわれ人類がちっぽけな心配をするよりも、すべてを馬と阿蘇の大地にお任せして、ゆったりと乗馬を楽しんでほしい。
月夜に昇る阿蘇の噴煙は、まるでシルクの帯のように輝いて見え、外輪山にこぼれる星たちとの見事な共演を楽しめる。
宇宙へむかってポカリと開いた阿蘇カルデラ平原で、神秘的な景色に包まれているだけで心が打ち震えてくるよう。
初めて馬に乗った人から、馬の背の上は想像していたよりも高いと感じたという感想をよく聞く。
しかしこのツアーでは、高くなった目線の何倍もの高さまで広がる夜空を身体のすぐ近くに感じ、輝く月や星を独占しているような気分が味わえる。
森からキツネの鳴く声が聞こえてきたり、鹿の家族があなたの目の前を横切っていったりすることもある。
ヒズメが土を蹴る音だけが闇に大きく響き、星まで届く気がする。
ツアーの所要時間はわずか20分間。しかしこの20分の間に、あなたの身体を幾度となく感動の嵐が駆け抜けるだろう。
馬から降りた後、冷えきった体を内側から暖めてくれる冬の阿蘇のご馳走(ちそう)は何かと問われれば、筆者は阿蘇赤牛のすき焼きをオススメしたい。
全国のみなさんは「阿蘇赤牛」といってもご存じないかもしれないので、簡単に説明しよう。
阿蘇赤牛は、熊本の広大な阿蘇平原に放牧されて育てられている。
そのため脂肪が少なくヘルシー。
それでいてうま味成分が多く、深いコクがあるのだ。
そんな阿蘇赤牛のお肉に、九州特有のたまりじょうゆをベースにした割りした。
肉にじっくりしみ込んだ、あっつあつのすき焼きの味は格別なのである。
この阿蘇赤牛のすき焼きを楽しめるのが、「創作料理いちの川」。
ご主人が趣向を凝らしたすき焼きは、絶品の一言!肉以外の具材にも、その時々の阿蘇の旬のものが厳選されている。
冬の阿蘇は、大自然を肌に感じる乗馬ツアーと、身体の芯から温まる阿蘇赤牛のすき焼きで、ゆったりと満喫してほしい。
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