2012年12月19日 12:20
三重県伊勢市の名物、汁もなければコシもない極太「伊勢うどん」とは?
初めて「伊勢うどん」を食べたのは学生時代のこと。
目の前に置かれた伊勢うどんは、白い麺がむき出しでわんに盛られており驚いた。
あの、うどんらしい、あつあつのスープ、琥珀(こはく)色の汁が、どこにも存在していないのである。
友人に教えてもらうままに、どろりと底にたまっている「たまりじょうゆ」をかき混ぜれば、あっという間に、真っ黒の麺に変化。
そのまま口に入れると、歯ごたえもこしもまるでない、異様なふにゃふにゃ感に、これまたびっくりしたものである。
これは、うどんなのだろうか?その後、伊勢神宮参拝の度に店を変えては、同じ「伊勢うどん」に挑戦するようになると、だんだんと独特の風味に魅了されるようになってきた。
うどんらしからぬふにゃふにゃモチモチ感とたまりじょうゆのコンビに、次第にやみつきになっていったのだ。
この「伊勢うどん」、もともとは農民が自分たちの食事のために作っていたと言われている。
のばす手間のいらない太い麺と、安くすむネギだけのシンプルな具材の組み合わせは、やがて伊勢神宮の参拝客にも提供されるようになった。
長旅をしてきた人、疲れがたまった人向けなので、消化が良くなるように麺をとことん煮込んで柔らかくしたのではないか、という説がある。