恋愛するためには変わらなきゃダメ? 「今の自分のままでモテる」という発想
「自分のここがいけないからモテないんだ」「今の自分では恋愛できない」と思ってしまうことについて、「ゆうメンタルクリニック」総院長で、精神科医・心理研究家のゆうきゆうさんにアドバイスをもらった。
例えば、恋人に浮気をされて、「私のどこが悪いの? 教えてくれたら直すから」と聞いたとします。
それに対して「君に悪い部分はないよ」と返事が返ってきたとしたら……。
人間の気持ちは少しずつ少しずつ冷めてくるものです。
そして冷め切った気持ちは「一つを直せばどうこうなる」というレベルではなくなります。
すなわち逆に言えば、「悪い部分がない」という言葉は、「直してといっても変わらないでしょう? それに変わったとしても僕の気持ちは同じだし……」という心理のあらわれ。
ですので決して相手は「ウソをついている」わけではないのです。
さらに「悪いところを直すから、教えて」というセリフに、男性は「直したら私のことだけを愛してくれるんだよね!?」というメッセージも感じるものです。
ですので気持ちが冷めかけている場合、なおさら言いにくくなるわけです。
実際に、「悪いところがある」からといって、相手からフラれるかというと、そういうわけでもありません。
「ダブル・バインド」といって、男性の言うことを聞かない女性が、かえって気持ちをつかむことだってあるのです。
ですので必死に「悪い部分を直そう」と、気にしすぎる必要はないと思います。
僕からの一番のアドバイスは、「変わらなきゃいけないと思い詰めるな」ということ。
それは結果的に相手の気持ちもつよく緊張させることになります。
ぐっと言いたいときに、その分やさしく接すること! 少しずつでもいいので、試してみてくださいね。
実はある心理学研究によって、「自己改造」をしようとしている人ほど、そうでない人に比べて、何と40%も抑うつ的になりやすいということが分かっています。
とにかく「改造」、こと「今の自分をまったく別のものに変えよう」とするのは、あまりいいことではないわけです。
ここで大切なのは「改造」と「成長」は違うということ。
実際に、今の自分の延長線上で、大きくなりたいと願ったり、今の仕事などを広げていきたい……と思ったりすることは、悪いことではありません。それは「成長」で、こういう思考をする人に関しては、まったく問題ありません。
大切なのは、今の自分を受け入れ、そしてその上で、それを伸ばしていくこと。
これこそが「成長」であり、これはとってもイイことなのです。
ダメなのは「改造」。
今の自分を否定し、まったく別のものに変わらなきゃ……と思うこと。
こう考えてしまう人は、結局根本的に自分を受け入れることができません。
そのため、ちょっとした変化があったとしても、結局は「まだダメだ」「もっと変わらないと」と考えてしまい、いつまでたっても自己否定を繰り返すだけです。
これでは言うまでもなく、抑うつ的になってしまい、どんどん気持ちが落ちてしまうわけです。
覚えておいてください。
「このままじゃダメ」と思うこと自体がダメです。
「変わらないと」と思っていてはいけません。
また「本当の自分はどこだ?」「今の自分ではいけないんだ」という思考もよくありません。
大切なのは、「今の自分でいい」と考えること。
自分を入れ替えたり、完全に変身したりする必要はありません。
とにかく自分の肉体や頭脳そのものを変えようとしては、いつまでたっても疲れるだけです。
とにかく今の自分を受け入れ、認めること。
そしてその上で、「では、今の自分の体や頭のままで、これをうまく進めるには、どうしたらいいのか?」と考えることです。
例えば「ダイエットして、モテたい」と思うのなら、「わざわざダイエットしなくても、モテるにはどうしたらいいのか?」「今の体のまま、モテる方法は何があるのか?」と考えてみること。
そのためには、例えば大勢の人と出会うためにパーティーに行くとか、いろいろな人に優しくして好かれるとか……。
そんな方法がいろいろと湧いてくるはずです。
大切なのは、そちらなのです。
とにかく「知恵」や「テクニック」などで、今の自分でもできる方法を探し、それを行動すること。
「変わらなきゃ」はダメ。
「いかに今のまま、やるか?」を考えることです。
「変わらなきゃ」と思っている人は、たとえダイエットが成功したとしても、結局は出会いの場所などに行かないままのため、いつまでたってもモテません。
とにかく自分を否定したり、変身を願ったりするのは、行動をしない言い訳にすぎないのです。繰り返します。
「変わらなくて、いい」んです。
「今のあなたで、いい」んです。
とにかくそのまま、自分にとってやりたいことのために、何かの方法を考えたり、ちょっとだけでも行動したりしてみること。
変えるのは、あなた自身ではありません。
状況です。
方法です。
自分自身を変えないとダメ……と思っているうちは、どこにも進めないまま、ただその場所で朽ちていくだけです。
「変わらなきゃ」は、たとえるなら、洞窟の中で迷っている人と一緒。
「このままじゃダメだ! 自分を変えないと!」と言いながら、その洞窟の一カ所で腕立て伏せを始めるのと変わりありません。
どんなに筋肉がついても何も起こらず、いずれはそこで飢えてしまうだけです。
とにかく一歩でも二歩でもいいので、そこから動くこと。
そうすれば、洞窟の出口だって見えてくるはずです。
体力が切れてしまう前に動くことが、何より大切なんですよ。
どうか覚えておいてくださいね。
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