【突撃!COBS】光化学スモッグって最近聞かないけどどうなったの?
光化学スモッグ注意報って言葉を覚えていますか?住んでいる地域によりますが、僕の地元ではたまにあって、注意報が発令されるとどこからともなく不穏な放送が流れるのが印象的だったと思います。「光…化学スモッグが……発令中です……」。それはたしかフィルターの掛かった曇りがちな女性の声で、ゆっくりと単調に、だが確実に、当時小学生だった僕の脳裏にある種の“不気味な存在”を印象付けたものでした。
しかしあれから月日はたって、近ごろはめっきりと光化学スモッグの放送を聞かなくなりました。それはそれで環境には良いことなのだとは思えど、かつてあれほど頻繁に耳にした注意報を聞かなくなったというのはどこか気がかりでもあります。そんなに空気がきれいになったとも思えないしなあ。というわけで、東京都環境局環境改善部大気保全課のIさんにお話を伺いました。
(Photo by:pfala)
――最近はどうですかね?
「今も注意報の発令自体はありますよ。
以前に比べて減ってきてはいますが、まったく無くなったというわけではありません。東京に関して言えば、統計を見ていただくとその発生状況がわかると思います」
参照:東京都環境局ウェブサイト
※2009年は、取材当日(11月17日)現在の累計日数
※光化学スモッグは自動車や工場などから排出される大気中の窒素酸化物や炭化水素が太陽光線によって光化学反応を起こすことで発生する。ここでの分類「学校情報」は汚染物質(光化学オキシダント)の濃度が100ppb以上の状態になり、それが継続すると認められたときに発令される。
――ははあ、やっぱりあるにはあるんですね。僕は昭和から平成にかけて小学生だったんですが、そのころはもっとありましたよね?
「確かにそのころは注意報の数も今よりは多いですね。年間50~100程度の注意報が発令されていたこともありました。ただ、最も光化学スモッグがひどかった昭和30~40年代の四大工業地帯などでは、地域によっては空がいつも白く曇っていましたし、それでもまだ根岸さんのころは良い状況になっていたのではないでしょうか。その後は、ディーゼル車排出ガス規制や大工場の移転などもあり、さらに発生が減っていきました。
今でも光化学スモッグが発生している理由としては、中国の経済発展に伴う影響も大きいでしょうね。もちろんそのほか、さまざまな要因が考えられるのですが」
――6ありがとうございました。
静かな午後の夏の一日。教室の窓から見える景色はまるで普段と変わらぬものだったし、なぜ外で遊んではいけないとされているのかもわからない。光化学スモッグは子供ながらに、実に不条理な存在として映ったものです。とはいえどういうわけか、数ある子供時代の記憶の中で、今でもそれはしっかりと頭の片隅にしがみついて離れない。エコロジーが騒がれる昨今、環境が浄化されていくことを良しとしつつも、「光…化学スモッグが……発令中です……」といったあの注意報を、もう一度聞いてみたい気持ちに駆られるのはなぜなのだろう。
(根岸達朗/プレスラボ)
【関連リンク】
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