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【コブスくんの使えそうな仕事術】きっと誰かに話したくなる、映画字幕の知られざる秘密とは?

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外国映画の字幕って普段なにげなく見てますが、あたりまえながらそれを翻訳し、日本語の文章に起こしている方がいるんですよね。大作ともなれば全国の何百万人の方々がその字幕を読んでいるのですから、その影響力の大きさたるや計り知れないものがあります。これまで『ベンジャミン・バトン数奇な人生』、『オーシャンズ13』、『カオス・セオリー』など、数々のハリウッド映画作品の字幕・吹替翻訳に携わってきた翻訳家のアンゼたかしさんに、字幕翻訳のむずかしさやその魅力についてお話を聞きました。


--どうやって字幕はできていくんですか?

「まず制作会社や配給会社を通して、映像素材と英語の台詞の台本(スクリプトと呼ばれる)をもらいます。それをもとにまずバーッと映画を見て、次にどこからどこまでをひとつの台詞にするかを決めていく。普通、長いものから短いものまで台詞の数が1,000~1,500程あるので、それを調整する作業ですね。これを『ハコ書き』といいます。その後、ざっと粗く訳していきます。
映画の字幕は1秒間に4文字までしか表示できないというルールがあるので、俳優のしゃべっている秒数に合わせて文字数を削っていきます。一度に表示できるのは横が一行13文字程で、縦だともう少し短いですね。改行の位置にも気を使わないといけません」

--ルールがあって大変ですね。

「台詞一つひとつを訳すことは簡単ですが、雰囲気をつかみつつ、それを日本語の簡潔な台詞に直していくことがむずかしいんですよね。例えば、英語独特の言い回しで『cool as a cucumber』というものがあるんですが、これは『キュウリのように冷たい = 非常に冷静な』の意。日本語でそんな言い方しませんよね。でもそれをどうやって訳すかというところが、翻訳の面白さでもあるんですよね」

--ちなみに吹替版の日本語を作るときは?

「原音を聞いて、俳優がブレス(息継ぎ)している位置に合わせて台本に線を入れていく。その後、自分で口に出して読みながら、ブレスからブレスまでに合うように日本語の長さを調整していく。
例えば、ハリウッド俳優のマット・デイモンは言葉につっかかりながら話すクセがあるのですが、これをどう日本語に合わせていくかなども考える。吹替版は字幕よりもさらに細かいニュアンスまで出さないといけないんですよ」
--どのくらい時間がかかるんですか?

「一本の映画に対して、納期は大体10日から2週間ほど。短い時間の中で仕上げないといけないので、締切間際は徹夜で作業をすることもあります。ただ、大変とはいっても劇場で自分の名前を見るというのはひとつの夢。今でも初めてエンドクレジットに自分の名前を見た時の感動は忘れられません。映画という大きなものに携わっている喜びを感じることができる仕事ですね」

--これからも楽しみにしています。ありがとうございました。

「メールを書いていると12文字から13文字くらいで改行したくなる。
職業病かも」というアンゼさん。映画、音楽、本など英語圏のカルチャー全般が好きだったことから、それに関わることができる仕事として翻訳家を志したそうです。かっこいいですよね。さて、もしあなたの名前がスクリーンデビューしたらどうしますか。僕ならそうですねえ、超自慢しますね。

(根岸達朗/プレスラボ)

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映画の邦題って、どうやって付けてるの?
http://career.cobs.jp/level1/yoko/2009/05/post_245.html
邦題もセンスが問われるところですよね

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